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フロンテオの三辺達也さん

フロンテオの三辺達也さん

人工知能(AI)開発のフロンテオは独自のAI技術を駆使した新規事業開発に取り組んでいる。事業部発足から半年後に入社した三辺達也(45)さんは、金融分野に照準を合わせて数々の協業を成功させてきた。危機感の根底にある課題を引き出して取引先の心を開く。

フロンテオは訴訟関連の電子データ解析など法律分野の業務が売り上げの大半を占める。同業務で培ったAI技術を広げるため、既存産業の課題を解決する「AIソリューション」の事業領域に乗り出している。

現在はビジネスソリューション本部で部長を務める三辺さんは、スタートアップや日本IBMでの営業を経て、フロンテオの新規事業開発部長として2015年に入社した。金融とAIの組み合わせに将来性を感じ、新規参入を提案。これまでメガバンクや証券会社など20社以上にサービスを提供したほか、50社以上で導入を視野に入れた有償の実証案件を獲得してきた。

一般社会でAIによる仕事が現実味を帯びたのはここ数年のこと。AIの必要性に懐疑的な金融機関はまだ多い。実用化には時間も費用もかかるため、効果に対する確証が得られなければ、首を縦には振ってもらえない。

金融庁と実験

そんな中、三辺さんは金融機関や自社のメンバーが渋るであろう提案を「あえて」してみる。取引先にいくらヒアリングをしても、当事者が「潜在的に実現が難しいと思っている課題は話題にさえ上らない」。AIサービスでは大手の競合も多いため「潜在的なニーズこそがブルーオーシャン(競争の少ない未開拓市場)」と考えるからだ。

18年の金融庁との実証実験でもこの提案力が生きた。メールマガジンで金融庁が民間企業の実験を支援すると知り、すぐに企画書を送った。内容は「コンプライアンス(法令順守)領域において、AIと人力の業務時間を比べて効果検証する」というもの。法にかかわる分野でAIを積極活用することをためらう金融機関が多いなか、ルールを執行する金融庁に直接提案することを選んだ。

金融庁の許可が下りると、投資信託販売などの通話記録から接客の問題点をAIが判定する試みに乗り出した。10近い金融機関に協力を求めたが感触は悪い。実験で違反が見つかった場合の罰則を恐れたのだ。再度金融庁に掛け合い、実験中の違反は罰則の例外となる合意を得た。結果的に三菱UFJ銀行など4機関が参加し、業務効率が2倍になる成果を確認できた。

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