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教養

池上彰と黒田博樹が語り合う 人生の壁の乗り越え方 スペシャル対談(上)

2019/4/1付 日本経済新聞 朝刊

先輩たちはどのように人生の課題や挫折を克服してきたのでしょう。ジャーナリストの池上彰さん、日米通算200勝という偉業をなし遂げた元プロ野球選手の黒田博樹さんが、高校生や大学生を対象にした特別講演「人生の壁を乗り越えて」で体験を語りました。新生活を始める若者たちへ生き方のヒントを贈ります。(司会は編集委員 鈴木亮)

司会 どのような高校時代を送っていたか。

池上 「都立高校で学んでいた。当時は自由闊達で、のびのびとした環境だった。ところが大学受験に臨んだ1969年という年は、大学紛争の嵐が吹き荒れ、東京大学などの入試が中止になってしまうほどの年だった。最終的に慶応義塾大学経済学部へ進学する道を選んだ」

黒田 「野球の強豪校、大阪の上宮高校へ進学した。優秀な選手が多く、『エースナンバーを背負って甲子園で優勝投手になるんだ』という目標は1年生で遠のいた。上下関係も厳しく、練習もきつかった。両親との約束だった3年間野球をやり抜くという目標に切り替え、打ち込むことにした。一日一日をしのいでいくことで精いっぱい。大学で野球をやるかどうか考える余裕はなかった」

司会 黒田さんはプロ野球選手として、池上さんは報道記者としてそれぞれ社会人生活を始めた。

黒田 「いま振り返るとプロ野球の世界に入ったことで満足してしまっていたように思う。同期の入団投手が2ケタ勝利をあげて新人賞を取り、ずっと差をつけられている感じがした。毎年、新しい選手が入団し、チームメートがライバルになった。下から突き上げられる危機感みたいなものを感じるようになり、入団後4~5年目には『このままではクビじゃないか』と焦り始めていた」

「気持ちを強くするためにメンタルトレーナーと契約して助言を得た。シューズの靴底の厚みをミリ単位で変えるなど、考えられる様々な工夫を試してみた。せっかくプロのユニホームを着ているのだから、後悔しないようやり切らないともったいないという思いが強くなったと記憶している。試合や練習の後、先輩たちについて行き、教えてもらったことも大きかった」

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