問い続けたホーキング博士 「自分で考える」を大切に池上彰の大岡山通信 若者たちへ

作業に関わっていた人たちが、「待てよ」と立ち止まって考えていれば、もっと前に判明していたものもあるはずです。

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惰性に流されてはいけない。「なぜだろう?」と常に疑問を持つことが大切です。それを改めて感じたのは、スティーヴン・ホーキング博士の遺稿集を読んだからです。

去年76歳で亡くなった理論物理学者のホーキング博士は、若くしてALS(筋萎縮性側索硬化症)を発病し、車椅子生活をしながら宇宙のブラックホールなどについての新説を次々に発表していました。

彼の生前の論文などを整理して出版された『ビッグ・クエスチョン』(NHK出版。青木薫訳)は、宇宙に関する素朴な質問に答えています。

質問に答えた本ではあるのですが、彼が幼少期からひたすら疑問を大事にしていたことがわかります。周囲に対して素朴な質問を投げかけることで、新たな気づきが生まれるのです。

ホーキング博士の葬儀で惜別の辞を読んだ友人の大学教授の言葉は心を打ちます。

「ニュートンはわれわれに答えを与えた。ホーキングはわれわれに問いを与えた。そしてホーキングの問いそのものが、数十年先にも問いを与えつづけ、ブレイクスルーを生みつづけるだろう」(同書)

アイザック・ニュートンによって、私たちは宇宙をよく理解できるようになりました。一方、ホーキング博士が次々に問いを投げかけたことで、理論が進んだのです。

願わくば、あなたも「職場のホーキング」と呼ばれる存在になりますように。

[日本経済新聞朝刊2019年3月25日付]

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