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調理の相棒フライパン 納得の1枚の選び方

NIKKEIプラス1

2019/3/23付

松渕得之撮影

調理道具をそろえる機会も多い季節。欠かせない道具の一つがフライパンだ。「なんとなく」で選ばずに、使いやすく、自分に合う納得の1枚を探そう。

初めて調理する人が最初に持つことが多いフライパン。種類が多く、価格は200円台から2万円以上と幅広い。最近はインターネットサイトなどにある評価が高いものを選ぶ人も多いのでは。しかし、この方法では納得の1枚に出合えない可能性がある。

「万人におすすめの万能のフライパンはない」と言うのは、プロ向けの調理道具がそろう東京・合羽橋の専門店「飯田屋」6代目社長、飯田結太さんだ。代表的なフライパン3種類を挙げてもらった。

■いため物向く鉄 手軽な樹脂加工

1つは昔からある鉄のフライパン。たいてい10年以上使えて、寿命が長い。強火調理向きで、いため物やこんがりと焼き目をつけた肉料理がおいしく作れる。一方で、最初に使う前に空焼きや油慣らしをしたり、使用後には油を塗ったりする手入れが必要だ。

次はフッ素樹脂加工のフライパン。鉄やアルミニウムなどの素材の上から、フッ素樹脂の塗膜を吹き付けたもの。食材がこびりつかず、調理のしやすさや、洗いやすさで人気がある。ただ、数年で塗膜がはがれるという弱点がある。また、高温で長時間空焼きすると塗膜が熱分解し、はがれやすくなる一因になるため、強火調理はできない。

この弱点を補うため、「高温調理ができる進化系が増えている」と飯田さん。フッ素樹脂に人造ダイヤモンドやセラミック、大理石など複数の素材を組み合わせたタイプだ。代表はベルギー製の「グリーンパン」。耐久性を高めた二酸化ケイ素などをコーティングに使用し過熱しても有害物質が出ないとうたう。

最後はアルミニウム。レストランの厨房で見かける銀色のフライパンだ。軽くて熱伝導率が高く、パスタソース作りに重宝する。ただ、慣れないと食材がこびりつき、空焼きすると、底面が変形して使いにくくなる。

飯田さんは、おすすめのフライパンを聞かれたときに必ずする質問があるという。「家族の人数。よく作る料理。そして手軽さを優先するか、長く使いたいか」の3つだ。

食べ盛りの男子がいて頻繁にいため物を作る家庭には強火調理に向く鉄のフライパン。ダイエット中で油を減らした野菜中心の料理を好む家庭なら、油なしでも調理しやすいフッ素樹脂加工が向く。 「毎日卵焼きを作るなら、熱伝導率の高い銅の卵焼き器がおすすめ。手ごろな値段のものも増えている」(飯田さん)。店頭で相談するなら、どんな使い方をするかを詳しく伝えよう。

■サイズ見極めて 悩んだら2枚も

「自分の生活に合うサイズを見極めて。大きいフライパンで少ない量の食材をソテーすると空いた部分が過熱状態になり、持ちが悪くなる原因になる」と話すのは東京・人形町で料理教室を主宰する風間章子さんだ。

「悩むなら、素材やサイズが違う2枚を使ってみては」と風間さん。おすすめは直径20センチメートルと、26か28センチの大小2種類。「特に20センチは煮魚やオムレツなど2人分の少量の調理で活躍。大きいほうは肉じゃがなどの煮物や、メインと付け合わせを同時にソテーするのにおすすめ」という。

鉄やアルミニウムなど、数十種類のフライパンを試した経験がある風間さんは、今、フッ素樹脂とセラミック加工が施された進化系のフライパンを愛用している。フッ素樹脂加工のメリットがあり「使いやすいうえに、耐久性もある」というのがその理由だ。

フッ素樹脂加工のフライパンでソテーをおいしく仕上げるコツは「最初から焼き目をつけようと思わず、中弱火でじっくり火を通す」ことという。コンロがガス火だとしても、蓄熱性が高いIH(電磁調理器)対応の底が厚めのフライパンをすすめる。

フライパンを使いこなせば料理の幅が広がる。その一つが米料理だ。教えてもらったお手軽カレーピラフは、吸水や蒸らしを含めて30分以内で作れ、手軽な夕食として重宝する。20センチのフライパン1枚分の分量だ。カレー粉をチリパウダーに変えればジャンバラヤになり、ちょっとしたおもてなしとして活躍しそう。

自分にぴったりのフライパンは、頼れる相棒になる。

(ライター 糸田 麻里子)

[NIKKEIプラス1 2019年3月23日付]

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