オルソケラトロジーに使うコンタクトレンズ。酸素を通しやすい材料でできている

1年近く前からオルソレンズを使っている7歳の男子Aさんもその1人。学校の健診で近視が進んでいると言われた。当時の両目の視力は0.2と0.3。心配になった母親に連れられて来院した。

テスト用のレンズを装着して約1時間仮眠してもらった。その後レンズを外して視力をはかると0.8程度に回復していた。さらに約1週間のトライアル期間をへてオルソがAさんに有効であることを確認、治療をスタートした。

経過は順調で、授業中に黒板の字が見えにくいといった悩みもなくなった。吉野院長によると「効果は通常は2週間、軽度の場合は1~3日で安定して表れる」という。

オルソケラトロジーは米国で始まり、日本では2009年に厚生労働省が承認した。保険が適用されない自由診療で行われている。治療を手がける眼科施設は全国に数百あり、施設によって料金体系が異なるが、最初の1年間にかかる費用は10万~20万円程度のところが多い。

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子への使用 慎重に

オルソケラトロジーの本来の目的は、日中に裸眼で過ごせるよう一時的に視力を矯正すること。一方で「近視の進行を遅らせる効果について科学的なエビデンスが集まりつつある」(吉野院長)ことへの関心も高い。

筑波大学など国内外の研究では、オルソを行った子どもを追跡調査したところ、眼鏡やコンタクトレンズを使用する子どもと比較して、近視の原因となる眼軸長の伸びが少ないという結果が出ている。これは眼鏡などと比べて目の負担が少なくなるため、近視の進行を抑えると考えられている。

日本コンタクトレンズ学会は17年12月にオルソケラトロジーのガイドラインを改定。それまで適応年齢を20歳以上としていたのを改め、「慎重な処方」を条件に未成年の使用を認めた。

ただ、子どもの場合はレンズの扱いなどに特に注意が必要だ。吉野院長は「ガイドライン改定で子どもへの適用がやりやすくなったのは確かだが、レンズ装着や日常管理で保護者がきちんとケアできるよう確認するのが極めて重要だ」と強調する。

(編集委員 吉川和輝)

[日本経済新聞夕刊2019年3月13日付]

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