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池上彰の大岡山通信

2019/3/11

池上彰の大岡山通信

また、体験者から聞き出した体験記をウェブサイトに掲載しています。

しかし、いずれ津波を体験した人もいなくなる日がきます。そのとき、次の世代にどう危険を伝えていけばいいのか。

いまになって思えば、津波で陸地に運ばれた船の残骸を、そのままそこに残しておけばよかったのではないかとか、壊れた建物をそのまま保存しておけば……などという声も出ますが、あのときの悲劇を体験した人にとっては、思い出したくないという気持ちにもなるでしょう。

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そういうときには、こんな手法もあるのだと知りました。宮城県気仙沼市から「復興祈念公園整備のためのクラウドファンディング」の知らせを受け取ったからです。

気仙沼市では1300人を超える人々が犠牲になりました。あの悲劇を伝えるための施設を建設するというのです。「震災の記憶を未来へつなぐべく、追悼、伝承、再生をコンセプトにした復興祈念公園の整備を進めています」とパンフレットには説明されています。

そのための費用は、クラウドファンディングという形式つまり一般からの募金でまかなおうというわけです。

こうした施設の建設に市の予算を支出しようとすれば、「税金はもっと復興に直接役に立つことに使え」という声も出てくるでしょう。

でも一般から資金を募るのであれば、不満は出ないでしょう。

目標金額は2000万円。4月28日まで募集しているそうです。

この施設ができたら、子どもたちを毎年ここへ連れてきて、あの日何が起きたのかを伝え続けてほしいと願います。

[日本経済新聞朝刊2019年3月11日付]

「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」は毎週月曜日に掲載します。これまでの記事はこちらからご覧下さい。

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