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遺伝性がんの発症リスク、検査で把握 保険適用も

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NIKKEI STYLE

乳がんや卵巣がんの一部には遺伝的な要因が強く発症に関わるとされるものがある。こうした場合は事前の遺伝子検査でリスクが分かり、いち早く手術で卵巣などを摘出すれば発症を予防できる。2018年4月には遺伝子検査との組み合わせで国の保険を使える乳がんの新薬が登場。今後、検査の利用が進む可能性がある。ただ検査で近親者の発がんリスクが判明する場合もある。まずは家族や専門家と相談し、検査や治療の方針を決めよう。

東京都在住の40代女性は14年にがんと診断され、手術などで治療した。3人の子どももがんにならないかと心配になり、遺伝性の乳がんや卵巣がんのリスクに関わる2つの遺伝子を調べる血液検査を受けた。

がんのリスクが高まる遺伝子の変異があると判明。遺伝性のがんに詳しいカウンセラーらと相談し、卵巣やがんではない方の乳房を切除してリスクを抑える手術を受けた。現在は通院しながら育児している。

乳がんや卵巣がんの一部には遺伝が強く関係すると考えられるものがある。中でも多いのが、特定の遺伝子の異常が原因となる「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」だ。HBOCの人は、一生で乳がんにかかる確率が41~90%と通常の6~12倍になる。

がんの発症は環境などによる要因もあり、乳がんの全てが遺伝性ではない。年間で約9万人が乳がんと診断されるうち、明らかに遺伝性といえるのは5千人程度にとどまる。

50%の確率で継承

HBOCの約8割が「BRCA1」と「BRCA2」という2つの遺伝子の変異が原因となる。親から子へ50%の確率で受け継がれる。がん研有明病院(東京・江東)などは00年ごろに変異の検査を始めた。

検査は主に乳がんや卵巣がん患者の一部が受ける。まずはカウンセラーなどの専門家へ相談して決める。相談にかかる費用は1時間で数千円程度。専門家は受診者の家族の中にがんになった人がいるかや、発症年齢などを尋ねる。

専門家が調べることでHBOCである可能性が高まったら、検査や発がんリスクを下げるための手術の説明を受ける。近親者が同じ遺伝子変異を持つ可能性があり「結婚前の娘を持つ母親など、検査をためらう人も少なくない」(がん研有明病院の吉田玲子医員)。

病院で採取した血液中の細胞の遺伝子を調べ、変異の有無を検出する。結果が分かるまで3週間かかる。通常の検査で分からない場合、遺伝子の大規模な変化をさらに詳しく調べる。

変異が見つかれば手術を受けるか検討する。がんができた乳房はすべて切除する。もう片方のがんがない乳房や卵巣などの扱いは医師と相談して決める。

がんができていない乳房を切除すれば乳がんのリスクを9割減らせる。卵巣と卵管を切除すると、卵巣がんのリスクを9割減らせ、生存率も上がる。ただ「変異が見つかった人のうち、卵巣、卵管や乳房を切除する人は一部にとどまる」(吉田医員)。日本ではまだ予防手術は盛んではない。

日本では高額な費用も遺伝子検査や予防手術の普及の妨げになっている。遺伝子検査は約20万円、手術は卵巣、卵管で70万~80万円、片方の乳房で50万円以上かかる。近親の場合は遺伝子の特定部分だけを調べるため3万~4万円で済む。それでも国の保険が使えないため全額が自己負担だ。

自費受診まだ多く

18年4月にアストラゼネカが再発した卵巣がんや、遺伝子が変異して再発した乳がん向けの新薬「リムパーザ」を発売した。これを使うことにすれば投薬前の遺伝子検査で国の保険が適用され、検査の自己負担が約8万円で済む。ただ現時点では自費で検査を受ける人がまだ多いという。

遺伝子の変異がある人が、仕事や医療保険への加入で何らかの差別を受ける可能性もある。NPO法人クラヴィスアルクスの太宰牧子理事長は「米国などの法律を参考に日本に合った法整備を進めるべきだ」と話す。患者が過ごしやすい環境づくりも欠かせない。

◇  ◇  ◇

新機構が認定事業を開始

遺伝性乳がんや卵巣がんの心配がある場合、どこで精度のよい遺伝子検査や適切な治療を受けられるのか。切実な声に対応するため日本人類遺伝学会、日本乳癌学会、日本産科婦人科学会が協力して日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)を発足した。2018年度から一定の基準を満たした施設の認定事業を開始、19年4月に2回目の公表を予定する。

認定施設は専門医や遺伝カウンセラーが常勤し、がんを起こす遺伝子変異がみつかった場合の追加的な診断設備があるかなどにより「基幹」「連携」「協力」に区分する。当面は計100カ所程度となるが「地域的な偏りもあり足りない」(機構理事長の中村清吾・昭和大学教授)。

日本人の遺伝性乳がんや卵巣がんの特徴を知り、よりよい治療につなげるため患者登録も進める。これまでの報告から、日本で家系内に複数の乳がん患者がいるなど遺伝性のリスクが疑われる約3割の患者が実際に検査を受けたとするとがんの原因となるBRCA1、2の遺伝子変異が見つかるのは4~6%だという。

遺伝子変異のある人は、がんができた片側の乳房のみを切除した場合に、15年内にもう一方もがんになる確率が3割に達し、変異がない人の約1割を大きく上回るという海外の報告がある。特にBRCA1の変異は、急激に悪化する悪性のがんを起こす例が多い。

遺伝子検査で変異がみつかったら予防手術をしない場合でも、こまめに磁気共鳴画像装置(MRI)検査などを受ければ、がんを早期発見し治療法を検討しやすくなる。遺伝子検査を「遺伝性乳がんや卵巣がんのリスク判定用に保険で受けられれば医療経済的にも効果は大きいはず」と中村教授は指摘する。

(編集委員 安藤淳、草塩拓郎)

[日本経済新聞朝刊2019年3月11日付]

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