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カインズの霞尚志さん

カインズの霞尚志さん

ホームセンター大手のカインズがBtoBの販売戦略を進めている。資材や農薬など業務用品をまとめて定期的に注文してくれる「大口顧客」獲得に向けて同業他社との競争が続く。なかでも東京から近く、農業が盛んな重点地域である千葉県を担当するのが、外商部の霞尚志さん(48)だ。千葉エリアの営業チーフとして、農家との関係作りに日々、奔走している。

霞さんの業務は、農家に営業し、資材や農薬、肥料を販売すること。米や野菜、果物など幅広い商品が栽培されている千葉エリアが担当で、営業成績はチームトップ。千葉はカインズが敷地面積約8万平方メートルの「カインズモール千葉ニュータウン」(千葉県印西市)など大型店を積極展開するエリアだ。

「本社に行くのは月に1度だけ」という霞さんは業務用品のカタログを手に、担当エリアの農家と店舗を営業車で走り回る。顧客の農家は約150軒。カインズが扱う農薬550点、肥料150点を中心に売り込む日々だ。

現在の職場に来たのは2年前。長年携わった商品の仕入れ担当からの突然の異動だった。霞さんは「基本的に社員に広く経験を積ませようとする会社。だが農業関連は仕入れ担当時代にも未経験で、商品知識がなく不安だった」と振り返る。

転任早々、農業の裾野の広さを実感する。「一口に農家と言っても、作るものと人によって好まれる商品は千差万別。自社の商品を覚えるだけでなく、信頼関係を築き、求められそうな提案をしなくてはいけない」(霞さん)

そこで、商品知識を頭にたたき込み、あいさつがてら田んぼや畑もじっくりと見て回るようにした。農家から注文を受けるのが基本業務だが、生育状況や時期、雑草の具合から、最適な商品を紹介する力も求められる。カインズがそろえる700品目以外でも取り寄せて対応するため、農業向けの商品数は6千点にも上るという。

だが慣れない業務でトラブルも起きた。同社の営業担当者は、注文を受けると最寄り店舗への配送を調整し、買い手の農家に来店してもらって販売する。商品の引き渡しは店員が行うが、店員は店舗業務に忙しく、勤務シフトもまちまち。霞さんの顧客への販売予定がうまく引き継ぎされておらず、来店時に「なんでこんなに時間がかかるのか」と失望させてしまった。

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