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外国人患者に通訳を 訪日客増で基盤整備・育成急ぐ

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NIKKEI STYLE

外国人患者と医師をつなぐ医療通訳の需要が高まっている。約1年半後に迫る東京五輪・パラリンピックで外国人旅行者が増える見通しに加え、在留外国人も受け入れが活発化するからだ。厚生労働省などは育成カリキュラム基準をつくり、通訳者養成学校などで学ぶ人も増えてきた。

「がんの『ステージ4』は『末期がん』とは言いません。間違っても『Final Stage』なんて訳さないように」。2月上旬の日曜、通訳者養成学校インタースクール東京校(東京・港)の教室で、講師の関本亨さん(59)の声が響く。週1回、1年間続く医療通訳コースの授業だ。

前半40分はビデオで医学部1~2年生レベルの知識を学び、後半80分が医療英語の授業だ。この日は「試験開腹を行います」といった専門用語を使った英作文や、がんの告知の際の英会話などを練習した。関本さんは自身も医療通訳で「医療通訳は医療と語学、両方の知識が必要で、一生勉強だ」と話す。

同校は2009年から英語と中国語の医療通訳のコースを始め、受講者は現役の通訳から医療関係者までさまざまだ。外資系の事務職だったという受講者の40代の女性は「家族の病気を機に、得意の英語を生かして医療に関わりたいと思った」と受講の動機を話す。

医療通訳は日本語を話せない患者と医師の間に入り、コミュニケーションを手助けする仕事。地域のボランティアや病院内で語学に堪能な職員がすることが多く、国家資格はない。民間の認定資格も複数が並立していたが、在留外国人や観光客の増加を受け、厚生労働省などが育成に力を入れている。

2013年から策定している標準的な知識をまとめた「医療通訳育成カリキュラム基準」もその一つで、インタースクールも準拠した授業をしている。国際臨床医学会などはこのカリキュラム基準を基に、資格認証制度の策定を急ぐ。

意思疎通を正確に

現場のニーズは高まっている。年間約6千人の外国人が訪れるNTT東日本関東病院(東京・品川)は英語と中国語の医療通訳4人が常駐するほか、10の言語が翻訳できるタブレット14台をそろえる。同病院の国際室副室長の海老原功さんは「医療行為の説明や手術の同意など、外国人相手でも正しく伝わっていなければトラブルになる。医療通訳はなくてはならない」と話す。

医療機関によってはボランティアや家族、友人が通訳をすることもあるが、がんの告知をしても家族が「かわいそうだ」と伝えなかったり患者が友人に知られたくない病気だったり、といったトラブルになった例があるという。

医療通訳は病院に常駐するだけではない。メディフォン(東京・港)のサービスでは、病院からの専用番号にかけると英語、中国語のほか、ベトナム語など17の言語でテレビ電話を通じた通訳ができる。登録している通訳は約300人おり、コールセンターや在宅で対応する。

同社の友久甲子さんは「電話での通訳は録音できるため、後から誤訳などを検証できる。多言語にも対応しやすい」と意気込む。試験導入も含め、すでに1900の医療機関が使用したという。友久さんは「必要に応じて、常駐の通訳と使い分けて」と話している。

翻訳アプリも技術革新が著しい。情報通信研究機構が開発したAI(人工知能)多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」は18年、デジタル医学事典「MSDマニュアル」の10言語のデータを活用し始めた。医療分野のデータは3倍以上になり、翻訳精度が上がった。同機構は「20年までに世界の言語の壁を越えるのが目標。アプリで足りる部分は多いはず」とみる。

言語以外の支援も

国際医療福祉大で医療通訳を教える押味貴之准教授は「医療通訳が広がるためには、プロフェッショナルとして働ける環境づくりが必要だ」と話す。病院側も通訳の必要性を認識していない場合もあり、費用を支払うのは患者か病院か、といった問題もある。「医療安全を確保するための経費と捉えてほしい」と押味准教授は話す。

また「翻訳アプリで代行できる部分は増えているが、正しさを確認できない。患者の不安感の払拭や文化の違いの翻訳など人間にしかできない部分もある」という。押味准教授は「医療通訳には語学だけでなく、外国人患者の受け入れ体制を調整できる医療コーディネーターとしての役割が求められる」としている。

◇  ◇  ◇

未収金、高止まり続く

外国人の患者が治療費を支払わずに帰ってしまうと未収金が生じる。厚生労働省の2016年度の病院経営管理指標の報告書によると、回収見込みのない未収金(入院と外来の合計)は1医療機関あたりで訪日外国人が409万3千円、在留外国人では75万3千円に上っている。いずれも前年度より増えており、高止まりが続いている。

調査は同省から委託された「病院システム」(東京・豊島)が17年11月~18年3月に実施。全国約1千病院が回答した。

訪日外国人に対して「クレジットカード等で支払い対応」と回答した医療機関は約46%にとどまった。料金支払いの仕組みを説明する「多言語の未収金マニュアルを用意する」としたのは1.8%のみだった。

外国人患者が多い医療機関の担当者は「悪意がなくても、文化の違いから受診料が後払いだと知らずに帰国してしまうケースなどがある」という。

ある病院では事前の身分証確認を徹底したところ、未収金がほとんどなくなった。医療コーディネーターの研修なども担当する「メディフォン」の友久甲子さんは「未収金防止はまだ試行錯誤。病院同士、横のつながりをもって情報交換してほしい」と話している。

(鈴木卓郎)

[日本経済新聞朝刊2019年2月25日付]

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