「調理してそのまま食卓へ」 一工夫で食洗機要らず
生活コラムニスト ももせいづみ
時短家電として名前が挙がる食器洗い機。共働き世帯の増加で普及率も上がっているかと思いきや、これが意外と伸び悩んでおり、2018年でおよそ30%前後。しかも所有する4人に1人は「持っているけど使っていない」のだそうだ。
使わない理由は「手洗いのほうが早い」「汚れ落ちが不安」「電気水道代がかかる」等いろいろ。アメリカの食器洗い機の普及率は90%近いという話もあるが、日本はキッチンが狭い分、食器洗い機もコンパクトで食器が一度に入り切らないことも多い。導入すればすべて解決というわけにもいかない現実もありそうだ。
実際には上手に使えば光熱費の節約にもなるし、ふきんや洗いかごの管理も楽になる。洗う時間だけでなく、気持ちの負担感が減って家事のシェアもしやすくなるので、ぜひ使ってみてほしいと思うが、習慣や抵抗感を変えるのはなかなか難しいのかもしれない。
であれば、なるべく洗い物を減らすという作戦はどうだろう。たとえば取っ手の取れるフライパンや、スキレット、パエリアパンなどで調理をして、そのまま食卓へ。調理器具がもりつけ皿を兼用すれば、その分洗い物は減る。
グラタンのホワイトソースは、わが家では耐熱皿に小麦粉とバターを入れてレンジでチン。牛乳を加えながらレンジ加熱して作り、そこにゆでたマカロニや野菜を入れてオーブンやトースターで焼き目をつけて作っている。一番面倒なホワイトソースを作った鍋の洗い物が出ないから、とても楽だ。
総菜はちょっとおしゃれな蓋付きの保存容器に盛り付ければ、残ってもそのまま冷蔵庫に入れることができる。耐熱製なら、そのままレンジやオーブンでの調理もできてさらに便利。その都度保存容器に移すより片付けの時間もかからないし、洗い物も出ない。
また、最近はフライパンを汚さないためのシートやホイルなども売られているし、脂っぽいものを切るときはまな板にクッキングシートや牛乳パックを敷くなどの工夫で、洗い物を減らす方法もある。ボウルでのあえ物や、揚げ物の衣つけなどはポリ袋を活用しよう。
オーブンの天板に肉や野菜を並べて焼いてそのまま出したり、蒸し料理に中華用のせいろを使うなどの演出は、洗い物を減らしながら、ごちそう感も生まれる。
日本食はただでさえ、ご飯茶わんや味噌汁わん、小鉢などこまごました食器が多いもの。皿数を減らすと「これだけ?」と家族からクレームが出るという場合は、「カフェ風ワンプレートの日」「おしゃれ丼の日」など、あらかじめ決めておくと楽しんでもらえそう。
洗い物が少なければ、水や洗剤なども少なくて済むし家事のシェアも楽。忙しい日の洗い物は極力少なく。ぜひ工夫してみて。
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。
[日本経済新聞夕刊2019年2月19日付]
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