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百貨店の苦戦が続くなか、訪日外国人(インバウンド)需要の拡大などを追い風に好調な博多阪急(福岡市)。けん引役となっているのが、メンズファッションフロア「メンズクリエーターズ」だ。統括する桝家浩介マネジャー(32)の店員教育や売り場づくりがファンを増やしている。

2011年開業の博多阪急は九州の玄関口である博多駅に隣接。改装などで高級路線を強めて顧客を取り込み、開業から18年3月期まで6年連続の増収となっている。

2階の女性衣料売り場を改装して17年3月にオープンしたメンズクリエーターズは、最先端のメンズモードファッションを集めた。九州ではここだけが扱うブランドや売り場面積が最大級の旗艦店など7ブランドが入り、オープン2年目の売上高は10カ月連続で前年を上回った。

同フロアの立ち上げで桝家さんに声がかかったのはオープンの半年前。当時6階の紳士服売り場でスーツやビジネスカジュアルを担当していた桝家さんは「この手のブランドの知識が全くない状態だった」。客層として想定する感度の高い男性が普段どこに集まるのか、ひたすら足を使って調べるところからスタートした。

当時、九州には最新のメンズモードファッションの集積地がなく、不安を抱えたまま準備に奔走した。そして迎えたオープン初日、フロアは最先端の服を着た若者らで混雑した。「感度の高い客は九州でもしっかり育っている」。桝家さんはそう確信を深め、この客層に「刺さる」売り場づくりを続けてきた。

VRでパリコレ

例えば、半期に一度開催する「メンズクリエーターズマンス」。期間限定のショップや知る人ぞ知る地元アーティストが登場する人気イベントで、18年秋は「ヨウジヤマモト」のパリ・コレクションのランウェーを最前列で見ているような体験ができるVR(仮想現実)ブースを設置。気鋭の作家によるライブペイントも好評を博した。

これらの企画は全て、桝家さんが足を使って調べた情報やショップ店長のアイデアから生まれた。多くの人や部署が関わる東京や大阪とは異なり、出店・出演交渉から運営、宣伝まで桝家さんが行う。裁量の大きさを武器にエッジの効いたコンテンツを連れてくることで「今いる顧客を飽きさせず、新たなファンも増やす」狙いがある。

売り場全体のファンを増やすための雰囲気づくりにも尽力する。ショップとの密な連携を目指し、朝昼晩の3回だけでなく、空き時間は売り場をまわって情報交換する。閉店後に残業しているショップがあれば声をかける。

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