健康意識が高まるヤンゴンで人気 新感覚飲料176円
ミャンマーの最大都市ヤンゴンの商業施設に、健康志向を売り物にしたドリンクの店がオープンした。東南アジアの伝統的な菓子のチェンドルを新感覚の飲料として提供しており、価格は1杯2500チャット(約176円)。天然素材だけを使っているのが売りで、健康意識が高まるヤンゴン在住の中間層を狙う。
チェンドルは緑色の麺状のゼリーにココナツミルクをかけ、かき氷を盛り合わせたデザート。東南アジアで親しまれ、呼び名は違うがミャンマーにも同様のレシピの甘味がある。
インドネシアでチェーン展開するチェンドル店「ヘジョヘジョ」が昨秋にヤンゴン店を開いた。伝統的な味わいをカップなどでドリンクとして提供する。
ヘジョヘジョでは麺状ゼリーにゼラチンではなく寒天を使い、従来のチェンドルよりカロリーを抑制。ココナツミルクの代わりにアーモンドミルクを使う。ココナツミルクは東南アジア料理に欠かせないが、飽和脂肪酸が多く、近年摂取を控える人々が増えている。
ヘジョヘジョのヤンゴン店をフランチャイズチェーン方式で経営するシンガポール出身の起業家チュア・ティンハオさんは「激戦を生き残るには、味がおいしいと同時に、健康にもよいという点がカギになる」と語る。
この1~2年、ヤンゴンでは健康志向が急速に高まった。市内ではスポーツジムの開業が相次ぎ、早朝の気温が下がる12~1月に開かれるマラソン大会の参加者は年々増えている。
ミャンマーではカフェチェーンなど近代的な飲食店の進出が相次ぐ。豪系「グロリア・ジーンズ」は2016年に開店。18年はタピオカを使ったドリンクで知られる台湾系「コイ・ティー」がオープンした。ヘジョヘジョが開業した商業施設は、ヤンゴン市内でも有数の激戦区といえる。
軌道に乗るにはまだ時間がかかるかもしれない。1杯2500チャットという価格設定は庶民にはかなり高く、新しいタイプの飲み物にどこまで顧客が付くかまだ見通せていないのが現状だ。「まずは試してもらいたい」と、ヘジョヘジョでは1杯1900チャットのスモールサイズを設けた。試行錯誤が続く。
(ヤンゴン=新田裕一)
[日経MJ 2019年2月4日付]
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