手探りの地球温暖化対策 環境ファンドで先駆け
コスモエネHD社長 桐山浩氏(下)
環境サービスなどを紹介するエコプロダクツ展にも参加した(左から3番目が本人)
地球温暖化対策への関心の高まりから、初代環境室長を任された。
課長になった1997年に開かれた地球温暖化防止京都会議で京都議定書が採択。それを機に当時の社長が「21世紀は地球修復の世紀だ」と、二酸化炭素(CO2)の削減に力を入れるように指示を出しました。
ですが、当時は公害対策の部署しかなく、ノウハウもなかったので当社の温暖化対策の策定は遅々として進みません。2001年になって業を煮やした社長から企画部でやるようにと言われました。対外的に活動するために環境室をつくる方針が打ち出され、私が室長を兼任することに。「私がやるんですか!」と突然のことに驚きました。
当時は珍しかった排出権取引の購入など試行錯誤しながら取り組んだ。
何ができるのかを考えるため、環境保全に取り組むNPO法人が主催する会議にも出席しました。すると、CO2を排出する化石燃料をどう減らそうかの議論をしている時に、なぜガソリンを売っている会社の人間がいるんだと白目で見られました。
ガソリンの需要がある限り、供給責任はあります。省エネなど環境対策に貢献できることは何でもすると理解を求めました。
オーストラリアの植林事業で生育したユーカリが吸収したCO2を排出権として購入。中期経営計画に環境の視点も入れたほか、環境保全のための基金もつくりました。
エコカードという名目で会員一人年間500円の寄付金を集め、同額以上を会社も支払った基金はNPO法人などに提供しました。マッチングドネーションという言葉が浸透していなかった時代でしたが、今や会員数が約6万4千人と環境ファンドでは有数の規模に育ちました。
石油に代わる成長の柱として期待する風力発電の買収にも関わった。
10年に風力発電の「エコ・パワー」を買収しました。当時は収益に貢献していませんでしたが、環境に力を入れる企業ブランドと親和性が高いと思いました。固定価格買い取り制度(FIT)の導入で稼げるようになり、需要減の石油を支える重要な事業です。
環境対策で時代を先取りして取り組めたことで、コスモといえば環境という認知度を高めるのに貢献できました。先例がなかったので、思ったことは何でも実行に移せておもしろかったですね。
1997年に京都市で開かれた国際会議で京都議定書が採択され、2005年に発効した。二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを削減するために設けた国際的な取り決めで、石油業界でも省エネルギーなどの温暖化対策が問われるようになった。