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時短家事

カジダンへの道 「家族が楽しい料理」は情報収集から パパ料理研究家 滝村雅晴氏

2019/1/29付 日本経済新聞 夕刊

料理づくりには、自分がおなかがすいたときに食べたいものをつくる「自分軸」と、誰かに喜んで食べてもらいたいという「相手軸」がある。対象が家族であれば「家族軸」。今回は、男性の料理づくりにおいて、家族軸をどう取り入れればよいか考えたい。

まず、家族向け料理であっても、自分が食べたいものをつくる自分軸は決して否定されるものではない。この要素が一番の料理の楽しみであり、長続きの秘訣だ。自分を基準にしながら、家族は今おなかがすいているのか、どんなものが食べたいのかを考える。自分軸があってこそ、家族軸による料理づくりが始まる。

こうして、お父さんが妻や子供のためにつくる「パパ料理」。見落とされがちなのが、料理を出すタイミングだ。

おいしいものを食べてほしいとお父さんがあれこれつくると、夕食の出来上がりがつい遅くなる。料理がそろった瞬間に家族が集まっていないと、文句を言ったり怒ったりすることもありがちだ。

一方、妻は夕食を早くすませ、後片づけや掃除など別の家事に取りかかりたいと考えていたり、子供はすぐに食事したかったりすることも多い。家族向け料理は、つくって終わりではなく、食事前後の家庭内の時間の流れを考慮する必要がある。家族それぞれの暮らしのペースを考えることも、家族軸に求められる視点である。

では、料理を並べる理想のタイミングをどう捉えるか。これには、家族料理で一番大切なものは何かを考え、それから逆算していけばいい。「おいしさ」も「栄養補給」も重要だが、私は「楽しいこと」が一番と考えている。

寒い季節であれば、外から帰ってきたら、すぐに温かい料理を囲めるのは理想だ。タイミング良く出せれば作り手にとって満足感があるし、食べる方もうれしい。

楽しい食卓にしようという目的が明確になれば、仕事に多忙な日々でも時間をつくる動機付けになる

楽しい食卓にしようという思いが家族で共通の目的になれば、時間の使い方も工夫するようになるだろう。仕事に多忙な日々であっても、夕食を囲む時間をつくり出す動機付けになる。

まず、平日であれば、家庭料理といっても必ずしも手作りにこだわる必要はない。帰り道に買った総菜を使ったり、作り置き料理を出したり。冷凍食品を積極的に活用し、手抜きではなく手間抜きをしよう。妻が料理をつくっていても、夫に家族軸の意識があれば、自ら配膳の準備をしたり、子供も交えて手伝ったりするようになれるだろう。調理の手間や洗い物が1回で済み、時短家事につながる。

家族軸は、「妻軸」「子供軸」と、ライフステージに応じて変わる。相手が食べたいと思っているものを、しっかり把握していくには、日々の食事でのリサーチが有効になる。ビジネスの世界では、クライアントが求めるものを事前に調査・ヒアリングするのは基本。家族が楽しいと感じる料理づくりに向けて、普段の食卓から情報収集してはいかがだろう。

滝村雅晴(たきむら・まさはる)
京都府出身、48歳。1993年立命館大学卒業後、採用PR会社を経てデジタルハリウッド入社。09年パパ料理普及を進めるビストロパパ設立。農林水産省食育推進会議専門委員、大正大学客員教授。

[日本経済新聞夕刊2019年1月29日付]

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