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生活習慣病治療の支援アプリ続々 血圧など手軽に記録

2019/2/6 日本経済新聞 夕刊

「たばこを吸いたい衝動は薬だけでは抑えられない」と話すのは東京都台東区に住む男性会社員(45)。喫煙には決まった場所や時間などで吸いたくなる「心理的依存」があるためだ。

禁煙は数年前にも挑戦したが1カ月で断念。今回は1年以上続いている。ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の効果だ。男性は2017年10月から始まったこのアプリの治験に参加。アプリを通じて「たばこを吸いたくなったらガムをかみましょう」といったアドバイスを受けたという。男性は「心理的依存をアプリで克服できた」と話す。

アプリを開発したのが医師でもある佐竹晃太社長が立ち上げたスタートアップ、キュア・アップ(東京・中央)。佐竹社長は「アプリを通じて患者に応じたアドバイスを出し、心理的にフォローする」と話す。単なる励ましではなく、禁煙治療を担う医師の知識やエビデンスに基づき介入する仕組みだという。

同社は18年12月でアプリの治験を終えた。医療機器として販売するための承認を申請する方針で、20年春の保険適用を目指している。禁煙治療を始めてから半年後の禁煙継続率は平均で約40%。アプリを使うことで60%にまで高めることが期待できるという。

治療や予防を支援するアプリを活用する最大のメリットは、医師や専門職による患者への介入を増やせる点にある。次の通院までの空白期間を埋めることができるうえ、患者の状態をこまめに把握することで医療の質も高める。佐竹社長によると、生活習慣病だけでなく、鬱病などの精神疾患やがんなどでもアプリを活用した治療法が出てきている。「アプリは薬剤、医療機器に次ぐ第3のツールになるはずだ」と話す。

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■根気続かず1割治療中断 自己管理の支援不可欠

生活習慣の改善には根気が要る。糖尿病は患者とその予備軍を合わせて約2千万人。自覚症状が少なく治療への意欲を失いやすいため、厚生労働省の研究班の調査では患者の約1割が治療を中断してしまう。

健康保険組合などが40~74歳までの被保険者を対象に実施する特定健診(メタボ健診)の受診率は5割強。メタボリック症候群などと判定された人のうち、実際に生活習慣の改善を促される特定保健指導を最後まで受けた人の割合は2割にも満たない。政府が掲げる2023年度までに45%という目標は遠い。

生活習慣病を治療したり予防したりするには、医師や専門職による介入だけでは不十分と言えそう。スマホアプリなど自己管理を支援するツールが役立つ余地は大きい。

(新井惇太郎)

[日本経済新聞夕刊2019年1月30日付]

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