3杯目は無料、スタバしのぐ人気 中国のカフェラテ店
中国で急速に店舗網を広げているコーヒーチェーンがある。カフェチェーン「luckin coffee(瑞幸珈琲)」で、ここ1年で爆発的に店舗数を広げ、中国で圧倒的な人気を誇ってきた米スターバックスを猛追。消費者に支持される理由はスタバよりも割安な価格にある。
「十分おいしい。友達と一緒に購入すれば価格も安くなるから最近は瑞幸珈琲をよく利用する」。毎日コーヒーを必ず購入するという上海市の男性会社員(34)は、以前はスタバをよく利用していたが最近は瑞幸珈琲に切り替えた。
瑞幸珈琲はここ1年で急速に店舗網を広げ、既に2000店を超えた(スタバは約3400店)。スタバなど通常のカフェチェーンと違い、ネット出前か持ち帰りに特化しており、レジと従業員がコーヒーを作る調理場のみで客席のない店舗が大半だ。出店コストを抑えることで大量出店を続けている。
コーヒーも世界バリスタ選手権に優勝したバリスタが監修し、コーヒー豆やミルクにもこだわるなど品質を前面に打ち出している。若者を意識してカップやロゴのデザインにも力を入れる。ただ消費者から最も支持される理由は価格だ。
スタバはラテの1杯の価格が29元(約490円)に対して、瑞幸珈琲は24元(約390円)だ。ただ、瑞幸珈琲は2杯購入すれば3杯目が無料となる。会社の同僚3人で購入すれば、3杯のラテを2杯分の価格で購入できるため、1杯の価格は16元(約260円)まで下がる計算だ。スタバの半額程度で購入できるため、価格志向の消費者の支持が広がっている。
一方で根強いスタバファンの消費者も少なくない。上海市の女性会社員の張雪さん(28)は「一度は試したが、やっぱりスタバのコーヒーの方が瑞幸珈琲よりおいしい」と話す。
中国では米国との貿易戦争の影響による景気の先行きの不透明感から消費者の財布のひもは固くなっている。こうした影響で瑞幸珈琲が支持されているという側面もある。一方で所得水準が上がって生活に余裕ができ、日常生活の1杯のコーヒーにも気を配る消費者が増えているともいえそうだ。
(上海=松田直樹)
[日経MJ 2019年1月14日付]
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