インターネット上の医療情報の信ぴょう性が問題になったのは医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」。画像の盗用や委託ライターによる安易な記事作成などが16年11月に表面化し、運営していたDeNAは計10サイトを閉鎖することになった。

その後の第三者委員会による報告書では、▽掲載されていた記事の内容に医師のチェックがなかった▽他のウェブサイトからの不正確な引用があった▽実際に健康被害があったとのクレームが相次いでいた――ことなどが指摘されている。

ヘルスリテラシーに詳しい聖路加国際大学(東京・中央)の中山和弘教授(看護情報学)は「本来ならば正確な医療情報は国など公の機関がまとめて出すべきだ」と指摘する。米国では最新の研究成果をまとめた国立の医学図書館があるほか、公の機関が市民向けにインターネットで医療情報を公開しているウェブサイトが多くある。

日本でも国立がん研究センターや医師がつくる学会などが同様の取り組みをしているものの、中山教授は「様々な病気を広く取り上げたウェブサイトは少なく、患者にとっては内容が難しいのが現状」という。

中山教授は、患者などが医療情報に接する際に注意してほしいのは(1)いつ書かれたのか(2)何のために書かれたのか(3)書いたのは誰か(4)元ネタは何か(5)違う情報と比べたか――の5つ。これらの最初の一文字をつないで「いなかもち」と覚えてほしいと求めている。

中山教授は「目の前にいる医師よりも週刊誌の記事を信じる患者もいる。自分の健康を守るため、患者自身も情報の確かさを自分で判断する力をつける必要がある」とアドバイスしている。

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健康・医療情報 「ネットで入手」78% 「信頼できる」は26%

米製薬大手メルクの日本法人MSDが17年に3千人を対象にした調査によると、健康・医療情報を「インターネットの検索サイトで入手する」と答えた人が約78%に上った。一方でそうした情報を「信頼できる」と回答したのは約26%にとどまった。

関係者が口をそろえるのが、検索サイトで上位に選ばれるようにする「SEO対策」の難しさだ。信ぴょう性が問題になったWELQも導入し、正確性よりもアクセス数を稼ぐことを優先したとされる。問題発覚後もインターネット上から根拠や出典などが不明の健康・医療情報が多い現状は変わっていない。

ヤフーは国立がん研究センターと連携して18年1~2月にスマートフォンのほかパソコンでもヤフー検索で同センターが提供する情報の掲載枠を順次設けた。各がんの名前を検索すると、病気の症状、原因などを検索結果の上部に表示する。ヤフーは「検索で適切ながんの情報を届け、正しい理解、適切な治療につなげたい」としている。

(鈴木卓郎)

[日本経済新聞朝刊2019年1月7日付]