くらし&ハウス

時短家事

カジダンへの道 料理作りの習慣化 まず朝食で パパ料理研究家 滝村雅晴氏

2018/12/25付 日本経済新聞 夕刊

家族のための料理作りに挑戦というと、身構えたり、時間をかけ過ぎたりして長続きしないお父さんは少なくない。時短家事を進めてハードルを下げれば、習慣化しやすくなる。

料理は作れないと思ったり、作らないと決め込んだりしているお父さんは、心理面と技術面の2つでハードルを感じている。心理面でいえば、プラモデルやパズルと一緒と思えば料理作りは楽になる。いきなり、戦艦大和のプラモデルや1000ピースのパズルを作るのは大変だが、部品数が少なければ、設計図に従えば完成する。料理も素材が少なければレシピ通りに作るのは難しくない。家族分のインスタントラーメンにキャベツを刻んで煮込むことから始めても構わない。

技術面では実際、パーツが少ない1つの食材で作る料理から始める。食事後のデザートの準備担当として、リンゴの皮をむいて切り分けるだけでもいい。コーヒーやお茶をいれるのは女性の役割と決まっているわけではない。食事のときに今何を自分がすべきか。あれこれ考えることが、家族のために作るパパ料理の出発点となる。

仕事に忙しく家庭で過ごす余裕時間の少ないお父さんが、平日にいかに料理を作るか。習慣化するには、強引に予定に入れてしまうことだ。仕事のアポイントと同じ。長続きする上でお勧めなのは、朝食作りだ。

なにも凝ったものを作る必要はない。ご飯と味噌汁だけでも十分。前の晩に炊飯器をセットして、味噌汁もあらかじめ作っておく。朝は火にかけるだけで済む。作業をルーティンにすれば、負担感もない。味噌汁の具材は、豆腐、ネギ、油揚げ、ワカメ、タマネギなど定番がいくつかあるが、組み合わせ次第で無限になる。具材たっぷりの味噌汁にして、目玉焼きなどを付けたりすれば、時間をかけずにしっかりとした朝食ができる。

まずは自分の食べたいものを作って楽しんだ方が料理作りを習慣化できる。その上で家族向け料理に挑戦するのが理想だ

料理に目覚めると、土日など時間の余裕があるときに、もっと手のかけた料理を作りたくなる。料理を習慣化させるためには「自分が食べたい」料理を作って楽しむことから始めるのが大事。初心者にとって自分が食べたくない料理作りは長続きしない。自分が幼い時に食べた料理であってもいい。

今は、デパートやスーパーのフェアで、日本各地の郷土の素材が割合簡単に手に入る。例えばネギ。京都なら九条ネギ、群馬であれば下仁田ネギを買ってみる。調味料に赤味噌や白味噌を使ってもいい。ストーリー性も生まれ食卓を囲む時間がより楽しくなる。

こうして始め、次に「妻は何が食べたいだろうか」「子どもが喜びそうなものは何か」とメニューを広げていく。パパ料理を言い換えれば「思いやり料理」。楽しい食卓を囲む時間を創出するという目的が明確になれば、時短家事を工夫する動機付けにもなる。もうすぐお正月。私は両親から教わった京都の白味噌丸餅の雑煮を作るのを、今から楽しみにしている。

滝村雅晴(たきむら・まさはる)
京都府出身、48歳。1993年立命館大学卒業後、採用PR会社を経てデジタルハリウッド入社。09年パパ料理普及を進めるビストロパパ設立。農林水産省食育推進会議専門委員、大正大学客員教授。

[日本経済新聞夕刊2018年12月25日付]

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