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スズケンの前原健太郎さん

スズケンの前原健太郎さん

医療機関や調剤薬局に薬を配送する医薬品卸で、業界3位のスズケン。同社の名古屋営業部で働く前原健太郎さん(37)は、競合他社との厳しいシェア争いの中で2010年下期以降、半期の目標を16期連続で達成してきた。月間売り上げ1億円のトップ営業マンは「営業上手は聞き上手」をモットーに、取引先に足しげく通う。

医薬品卸業界では、販売担当者を「マーケティング・スペシャリスト(MS)」と呼び、MSは医療機関や調剤薬局を回る。薬を売るだけでなく、医療業界に関わる関連法やトレンドなど、多岐にわたる知識が求められる。

現在の職場である名古屋営業部にMSとして配属されたのは、10年10月のこと。名古屋市の西側に位置する海部郡、津島市の25の医療機関と21の調剤薬局を担当している。配属以来、半期ごとの売り上げ目標をすべて達成している前原さん。同営業部の松井和夫・病院担当副営業部長も、「目標は成績に応じて年々上がるので、(毎期の)達成は簡単なことではない」と感嘆する。

「スズケンは嫌いだ」――。11年10月に、前原さんが担当する愛知県内の診療所の担当医師に面と向かって言われた一言が忘れられない。名古屋営業部の配属直後から新規契約先の開拓を目的に週2回名刺だけ渡しに行っていたが、1年間は面会にすら応じてもらえなかった。

笑顔常に忘れず

「まぁ、そう言わずに」。きつい一言を言われても前原さんは笑顔を忘れなかった。1年間断られ続けても諦めずに足を運ぶ姿勢を評価した医師にやっと面会を取り付けた時、前原さんはかすかな手応えを感じた。

すると、その医師から「スズケンと取引するメリットを書いてこい」と、A4用紙のリポート提出の課題を出された。次の面会で「安定供給」などと書いて持って行くと、「現状の取引先と同じ条件はメリットではない」と突っぱねられた。上司と相談しながら内容を考え、週2回足を運んでメリットを訴えた。

初面会から3カ月後、その診療所関連で月200万~300万円の売り上げにつながる大口契約を結ぶことができた。その時のことを前原さんは「何かが決め手になったわけではなく、一つ一つ試されていたのかなと思った」と振り返る。

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