加齢に伴って膝の痛みを訴える人が増える。50代以上の膝の痛みの要因で最も多いのが、膝関節の軟骨がすり減って炎症が起きる「変形性膝関節症」。痛みの軽減につながる運動や日常生活の工夫を知ろう。
平たんな道を歩くだけで、膝には体重の2~3倍の負荷がかかる。大腿骨(太ももの骨)と頸骨(けいこつ)(すねの骨)の間には、クッションの役割を果たす軟骨があり、関節部分にかかる衝撃を和らげている。そのため、健康な人は膝への負荷をさほど意識せずに済む。
ところが、長年酷使しているうちに軟骨はすり減っていく。膝関節部分に炎症が起きて腫れや痛みが起きるのが変形性膝関節症だ。進行すると、骨同士が直に接触して強い痛みをもたらす。
国内の患者数は現在1000万人以上と言われるが、帝京大学医学部整形外科の中川匠教授によると「未受診の潜在的な患者を含めると、2500万人以上いる可能性がある」。主な原因は膝関節の老化。男性より女性に多く、膝への負担が大きい肥満体質の人もなりやすい。スポーツなどによる膝の負傷を適切に処置しないでいると、発症のリスクが高まるという。
膝の痛みで歩くのがつらくなったら、医療機関を受診しよう。関節軟骨は再生されにくいため、いったんすり減ると自然治癒は望めない。治療は「体操やストレッチなどの運動療法が基本となる」(中川教授)。