中国人の心に刺さるSNS発信 免税店売上高5.4倍に近鉄百貨店 松本守弘さん

近鉄百貨店の松本守弘さん
近鉄百貨店の松本守弘さん

訪日外国人が急増する関西で、訪日消費を取り込み業績を伸ばしている近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店(大阪市)。2017年の免税店売上高は147億円と16年比で5.4倍に増えた。交流サイト(SNS)を活用した集客や受け入れ体制の充実など、販売推進部長の松本守弘さん(49)の工夫が随所に光る。

大阪観光局によると、17年に大阪府を訪れた外国人数は1111万人。前年から18%増と、伸び率では東京都(14%)を上回る。9月は台風21号による関西国際空港の一時閉鎖で訪日客が激減。近鉄本店でも免税店売上高が3割減まで落ち込んだが、翌月には台風前の水準に戻った。

専属チーム設立

インバウンド推進担当の肩書も持つ松本さんは好調な免税店売上高を「16年からまいている種が芽を出し始めたから」と分析。近鉄本店は14年3月にグランドオープンし、同年9月に中国や台湾出身者を含む4人でインバウンド専属チームを立ち上げた。

松本さんが取り組んだのがSNSによる集客だ。お薦め商品やイベント風景の画像を載せるだけでは消費者に見てもらえない。そこで、多くのフォロワーを抱える中国のキー・オピニオン・リーダー(KOL)が店舗や商品を紹介する動画製作を16年10月に開始。17年6月にはKOLによるスマートフォン(スマホ)でのライブ中継も始めた。日本一高いあべのハルカス展望台で夜景を中継した時は視聴者が100万人を超えた。

近鉄本店を訪れる外国人客の9割が中国人。松本さんがSNSに力を入れるのは「中国の消費者は我々の想像以上に口コミを信用する」からだ。例えば、日本の化粧品メーカーの商品を日本製と中国製で比較するサイトがある。品質は同じだとメーカーは公表しているが、サイトでは日本製の方が品質が高いとしており、消費者は比較サイトの方を信じるという。

多額の広告料を払って旅行ガイドやフリーペーパーに広告を出していたが、発行部数30万部の旅行ガイドに載せても効果は分からず、フリーペーパーの場合は本当に中国で配布しているのかも不明だった。120万人のフォロワーがいるKOLが紹介すれば、確実に120万人の消費者に届く。現在は中国向けに微信(ウィーチャット)や微博(ウェイボ)など、台湾・香港向けにフェイスブック、インスタグラムで自社ページを作成・発信している。

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