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廃プラ問題解決へ、新事業支える営業の「ジョブズ」 TBM 中村友哉さん

2018/12/11付

TBMの中村友哉さん

欧州で始まり世界中の関心を集める廃プラスチック問題。石灰石を使った新素材でこの問題に立ち向かうスタートアップ、TBM(東京・中央)の中村友哉さん(34)は、社員の誰もが認めるエースだ。新興企業が手掛ける新素材だけに、大企業の営業スキルとはひと味違う中村さんの調整力が、注目のスタートアップを支えている。

「そんな短期間では納品できませんよ」

経営企画本部マネージャーを務める中村さんは一度、ある依頼を断ろうとしたことがある。翌月に迫った東京・勝どきで開くイベントで、TBMが開発した新素材「LIMEX(ライメックス)」でできた使い捨て食品皿を使えないかという案件だった。

ライメックスは石灰石を原料とした紙やプラスチックの代替素材だ。ありふれた石灰石を使うので、樹木の伐採も大量の石油も必要ない。

イベントの実行委員会は、政府などが掲げる2030年までに達成すべき持続可能な開発目標(SDGs)の一環として、代替プラスチック製の食器をイベントで使おうとした。だが、納期は1カ月を切っていた。

TBMはライメックスを使った名刺やスマホケースなどは製作していたが、実際に使われる食器は初めて。食品衛生法の基準に適合する必要もある。一方で事業拡大のチャンスでもあった。一度はためらったが「やらない、はない」と引き受けた。

中村さんは「何個必要か、金型はあるか、とにかくしらみつぶしに業者にあたった」。大阪の金型メーカーが引き受けてくれたおかげで、ライメックス製の食品容器が初めて使われた。

SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)の重要性が問われる昨今、ライメックスは活用拡大が見込まれる注目素材だ。だが最終製品の素材として使ってもらうには(1)納期(2)コスト(3)性能――の3点で従来品に肩を並べる必要がある。今回の食品容器のような「モノさえあれば買う」という声はあるものの、そもそもモノが量産できていない。従来製品のような顧客が求めるスピード感に追いつけていないのが実情だ。

「まだモノがないという難しさがある」と認める中村さんだが、持ち前の調整力が製品開発に生きる。製品づくりにはTBMだけではなく、ものづくりメーカーなどの協力が不可欠。コストや納期などのリスク管理はもちろん、新素材が持つ環境への「優しさ」のビジョンも共有する。

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