クローゼット整理、ハンガーが要 タイプで使い分け
洋服の収納に必要なハンガー。ただ意識して選ぶと言う人は少数派だろう。実はクローゼットが整理できている人はハンガー使いがうまい。ハンガーの使い方のコツを聞いた。
クローゼットを開けると服がギッシリ。なかなか服が見つからない、出し入れしづらい……とストレスを感じている人もいるだろう。思考の整理から始める片づけ支援をするライフオーガナイザーの会田麻実子さんは、「クローゼットがごちゃごちゃするのは服が多すぎるうえ、形、大きさ、色が違うハンガーがまざっているから」と指摘する。
厚みのあるコート用のハンガーに薄いシャツを掛けたり、その逆だったり。脱いだ服を何も考えずに空いているハンガーに掛けると混乱の一因になる。無秩序に服を掛けることで「並べたとき、肩のラインも服の前面もバラバラ。服が埋もれて見えない、出し入れで引っかかるなど、ますます嫌になる」(会田さん)。
全て取り出し 使い方点検を
それならハンガーを一気にそろえようという気になるが会田さんは「買う前に自分がどんな使い方をしているのか点検すべきだ」ときっぱり。
まず、クローゼットに掛かっている服とハンガーを全て出してみよう。ハンガーは大きさや厚み、手触りや形状などをチェック。「これは好き」「これは使える」というタイプが見えてきたら、それは残す。一方、「使いづらい」「相性が悪い」と感じるハンガーは見直す候補に。
いい機会なので、洋服も一緒に整理するといい。不要な服は処分。掛けて収納すると決めた服は、スーツはスーツ用、シャツはシャツ用……と、残したハンガーの中から向き不向きを考えて掛け直す。
クローゼットでは並べ方を工夫しよう。例えば、シャツ類は手前、ジャケット類は奥と、服の種類でまとめる。仕事服は白い木製ハンガー、普段着は黒いプラスチックのハンガーなど、テーマで分ける。こうしてルールを決めたら、それを守るのが大切だ。
会田さんは「ここまで整理できるようになったらハンガーの補充を考えてもいい」という。ただし、買い足すときは「人気だから」「専門家がすすめていたから」という理由で選ばないこと。誰かがすすめるハンガーが自分に合うとは限らない。
使い方にもよるからだ。滑らないハンガーはセーターなどがのびないのでいいが、シャツはするりと滑るほうが、掛けたり外したりしやすい。一気に大量に買いそろえると無駄になってしまう。
スペースや外観 優先度を考える
選ぶ基準は、何を優先させたいか。限られたスペースにたくさん収納したいなら細いハンガー、「見せる収納」にしたいなら木製ハンガー、洗濯から収納まで同じハンガーにするならアルミのハンガー……と、自分にとってのベストを選ぶことが大事だ。「目的により何種類かを使い分けるのが現実的。迷ったら1本ずつ購入して試してみるのも一案」(会田さん)だ。
ハンガーには服をきれいに保管する役割もある。「実は、服は着ていない時間のほうが長い」と話すのはハンガー専門メーカー、中田工芸(兵庫県豊岡市)東京ショールームの向山弦さん。冠婚葬祭用の礼服やコートやジャケット、革製品などがその代表だ。
重量のある衣類は専用に設計されたハンガーに掛けて保管したほうが形崩れせず、きれいに長く着ることができる。向山さんは「仕事用のスーツも専用ハンガーを使うことでメンテナンスしながら長く着ることができる」という。
ジャケットやスーツ用のハンガーは厚みと幅が服に合ったものを選ぼう。「肩の先端の厚みは3センチ以上、幅は肩幅より2~4センチ差し引いたサイズのハンガーに掛けると、服の肩はきれいにはまる」(向山さん)。男女のサイズ差も重要だ。女性のジャケットを男性用ハンガーに掛けると、腕の部分にハンガーの跡が付いてしまう。
冬場に着回すセーターやカーディガンはどうか。1日着たニットはハンガーに掛けて湿気を飛ばした後でしまう人も多いだろう。ニット類は細いハンガーに掛けると跡が付き、厚いハンガーだと編み目がのびてしまう。「シャツ用より厚め、4センチくらいの厚みをもつハンガーがおすすめ」(向山さん)
ハンガーの機能を生かし冬のワードローブを楽しもう。
(ライター 奈良 貴子)
[NIKKEIプラス1 2018年12月8日付]
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