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B型肝炎の新薬「ベムリディ」 少量で副作用少なく

2018/12/3付 日本経済新聞 朝刊

■早期発見が課題

一方、いかに早く感染を見つけて治療を始めるかが課題として残る。

B型肝炎は自覚症状が少ない。手術時の採血検査で見つかることもあるが、医師が専門外で患者に伝わらない可能性もある。病気が肝硬変まで進むと体に黄疸(おうだん)が出たり、疲れやかゆみを感じたりする。

感染が心配な人は病院で血液検査を受けよう。ウイルス成分のたんぱく質が血液中で見つかれば、感染が分かる。数週間で検査結果が出る。自治体の支援で無料で受けられることも多い。母子感染の防止が進む前に生まれた30歳代以上で検査を受けたことがない人は、特に受診するとよい。

感染が分かったら、すぐに肝臓の専門医を受診しよう。肝臓の細胞が壊れると増える血液中のたんぱく質を採血で調べたり、超音波で肝臓の硬さを調べたりする。最後は針で肝臓の組織を取って肝炎の有無を調べる。肝炎だと分かったら、早期に治療を始めよう。

日常生活では睡眠を十分にとり、栄養バランスがよい食事をとるなど規則正しい生活を心がけるのが大切だ。体内でウイルスが増えるのを薬で防げば、肝硬変や肝がんの発症リスクを減らせる。B型肝炎を治療すると肝臓がんなどの発症率を抑えられる。根気強く治療を続けよう。

◇  ◇  ◇

■残る発がんの恐れ 根治薬の開発急務

B型肝炎ウイルスに感染した人の9割は、ウイルスが増えずに治療の必要がないとされてきた。だがウイルスが体内で増減を繰り返し、肝炎や肝臓がんを発症する人もいる。従来の血液検査だけでは見落とす恐れがある。泉院長は「以前に治療が不要だと医師に言われた感染者も、もう1回検査してほしい」と訴える。

B型肝炎ウイルスは肝臓の細胞のDNAに入り込む。詳しい仕組みは不明だが、このことも肝臓がんの発症につながる。薬でウイルスが増えるのを防いでも、肝臓がんを完全には防げない。泉院長は「B型肝炎の患者は半年に1回、超音波などで肝臓がんの有無を調べてほしい」と話す。初期のがんならラジオ波でがんを焼くなどして治療でき、予後もよい。

「ベムリディ」とは異なる仕組みで効く薬の開発も進む。大阪大学の竹原徹郎教授は「肝臓の中でウイルスの粒子ができるのを防ぐ薬や、ウイルスへの抵抗性を強める薬などの研究が進んでいる」と話す。C型肝炎は米ギリアド・サイエンシズが2015年に日本で発売した「ハーボニー」が特効薬になった。B型肝炎でもさらなる新薬の開発が待たれる。

(草塩拓郎)

[日本経済新聞朝刊2018年12月3日付]

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