変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

三井不動産リアルティの小林輔さん

三井不動産リアルティの小林輔さん

中古マンションなど不動産の売買仲介を手掛ける三井不動産リアルティ。同社の「三井のリハウス東陽町センター」(東京・江東)第1ユニットリーダーの小林輔さん(35)が率いるチームは、ここ3年間での売買仲介の取扱件数が年平均100件以上と社内トップ級の成績だ。丁寧で的確な接客が顧客の心をつかんでいる。

「気になるところはありますか」。週末の昼下がり、小林さんは同僚社員と共に中古マンションの購入希望者を笑顔で案内する。

同社は営業担当者が1人で自分の顧客を受け持つ業界の慣例を破り、数人単位で営業する「ユニット制」を2015年に導入した。新築マンション価格の高騰で、相対的に割安な中古の人気が高まるなか、忙しい仲介現場で経験による接客品質の差をなくす狙いがある。小林さんもメンバーを手助けしながら、自らも顧客と向き合う。

例えば、中古マンションを探していたある夫婦の場合、実際の物件を見る「内見」が15回近くに達していた。ついのすみかを求め住環境を重視するだけでなく、ローンではなく限られた現金での購入とあって慎重だったからだ。

それでも小林さんはねばり強く付き添った。夫婦が湿気を気にしていたため、売り主の許可を得て両隣の世帯に話を聞き、「換気すれば問題ない」と理解してもらった。オートロックでないエントランスも、過去にトラブルがないことを小林さんが管理会社に確認し、夫婦に伝えた。

「ここまで熱心にやってくれるなら」と購入を決めたその夫婦は、引っ越し当日に小林さんと撮った写真を居間に飾っている。息子家族も小林さんに家探しを依頼した。今でも年賀状などで連絡を取りあう関係が続いている。

時間かけ話聞く

仲介手数料をもらう不動産仲介の世界では効率が重視されがちだが「時間がかかっても寄り添って徹底的に不安を払拭し、満足してもらう」のが小林流。背筋を伸ばして相づちを打ちながら話を聞き、ニーズを引き出す。「時間を頂きありがとうございます」と丁寧にお礼する。凡事徹底が不可欠だ。若い頃はざっくばらんに仲良くなるのがいいと思っていたが、「丁寧に誠実に対応する方が信頼される」ことに気づいたからだ。

ニーズを引き出すコツは、家族構成など「はい、いいえ」で回答できる質問から始めることだ。何時にどこまで通勤・通学するかも聞いて生活スタイルをイメージする。

求める条件が煮詰まっていない相手には、多くの物件を紹介する。要望が明確な人には、条件が多少外れても「合いそうだ」と思った物件は一手間かけて提案するようにしている。「その時に本音が漏れ、真のニーズが見える」からだ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック