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半熟オムレツに大地の恵みのルー 富良野のオムカレー

2018/11/22付 日本経済新聞 夕刊

唯我独尊のオムカレーのルーは30種類の香辛料を使いスパイシーだ

夏は紫色に染まるラベンダー畑めぐり、冬はパウダースノーのスキー場が人気の北海道富良野市。オムレツとカレーを組み合わせたオムカレーが観光客らを楽しませる目玉メニューに定着している。

卵を2個使った半熟オムレツが載るまさ屋のオムカレー

「地元農業の恵みを観光に生かそう」。豊富な食材が採れるのに認知度がいまひとつのため官民で取り組み、新ご当地グルメとして富良野オムカレーが誕生したのは2006年。提供店は現在9店で、「富良野産(上富良野町など周辺町村を含む)のコメ、卵、バターを使用」「肉、野菜も地元産か北海道産」「地元で作った牛乳を付ける」「税抜き1000円以内」など6カ条のルールを定める。

鉄板焼き・お好み焼きのまさ屋のオムカレーは、シャキシャキしたキャベツが入ったライスがバターじょうゆで香ばしい。卵2個分の半熟オムレツはボリュームがあり、赤ワインを使ったデミグラスソースのルーでまとめた。上富良野町産の肉厚な豚トロ肉が付くのもうれしい。

一連の調理がカウンターと向き合う鉄板の上で手際よく進められる。日本独特の調理法だけに、最近多く訪れる訪日客はスマートフォンを片手に興味津々だ。オーナーシェフの谷口正也さん(50)は「喜んでもらえるうえに一度に4人分作ることができ、お客の回転が速い」と笑う。

ご当地グルメの大会「B―1グランプリ」出場を重ね、海軍カレーで有名な神奈川県横須賀市の「ご当地カレーグランプリ」で優勝し、知名度がアップした。提供店でつくる富良野オムカレー推進協議会が獲得した賞状・トロフィーが店内に並ぶのは、昭和の雰囲気が漂う山香食堂。店主の石川節子さん(70)は「置き場所に使われて困る」と苦笑するが、市民に定着してきたことがうかがえる。山香食堂は周辺の建設会社などの客が昼休みに頻繁に利用する人気店。富良野産のワインをソースに使ったオムカレーは同店の定番メニューだ。

唯我独尊の店舗は山小屋風

1974年創業の唯我独尊は全国のグルメ通が頻繁に行列をつくるカレー店。富良野では元祖オムカレーの店といえる。協議会には加盟せず、ご当地グルメとは一線を画しているが、運営会社取締役の宮田寿丸さん(33)は「オムカレーの店が増え切磋琢磨(せっさたくま)するのはいいこと」と歓迎する。

地元の卵を使ったオムレツにスプーンを入れると、ふんわり、とろーり。スパイシーなルーはタマネギ、ニンジンを3日間煮込み、香辛料30種類でつくる本格派。富良野を舞台にしたTVドラマ「北の国から」を思わせる山小屋風の店構えで、登場人物のセリフ「ルールルル」の合言葉でルーのおかわりが自由になる、遊び心満載の店だ。

<マメ知識>「三種の神器」の一大産地
北海道はカレーの具の「三種の神器」であるタマネギ、ニンジン、ジャガイモの一大産地。多彩なご当地カレーが我が街をPRする。カレーラーメン(室蘭市)、ホッキカレー(苫小牧市)、ジャンボホタテカレー(別海町)、えびタコ餃子カレー(羽幌町)……。富良野オムカレーは加盟店だけで12年間の累計販売が77万食に上るヒット商品になった。地元高校の園芸科の生徒でつくる「ふらのカレンジャー娘」の販促や、製パン大手との共同開発など市・加盟店によるアイデアが実を結んでいる。

(旭川支局長 大槻亨)

[日本経済新聞夕刊2018年11月22日付]

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