数十億円を連続受注 検討前に相手企業に「入り込む」ワークスアプリケーションズ 森本彩加さん

ワークスアプリケーションズの森本彩加さん
ワークスアプリケーションズの森本彩加さん

システム大手のワークスアプリケーションズ(東京・港)で主力商品である人工知能(AI)搭載の統合基幹業務システム(ERP)「HUE(ヒュー)」の販売に携わる森本彩加さん(29)。数十億円規模の大型案件を連続受注し、社内で賞を受けたこともある。細やかな気配りと緻密な戦略で、営業先をつかんでいる。

ERPといった大型業務システムは、企業の屋台骨を支える重要なビジネスだ。1件当たりの契約額も大きく、頻繁に商機が訪れる商材ではない。いったん納入すると5~10年は更新しない。取引先に決断を促す販売担当は、たとえ新人であっても甘えは許されない。

森本さんは「納入検討が始まる前にいかに相手先に入り込めるか」を重視してきた。まず担当リストを基に相手先企業を丹念に調べる。現行のシステムで負荷がかかっているのはどこなのか。新システム導入でメリットを感じるのは誰なのか。新プロジェクトの旗振り役はどこにいるのか――などだ。

需要を作り出す

前任者からの引き継ぎに加え、中期経営計画などの公開資料を読み込み、取引先関係者とのアポイントを重ねて相手企業の社内相関図を作製する。次の次の商談、その後の保守運用や製品開発まで見据えた事前のシナリオづくりなど、受注までの戦略を立てているという。

相手先に入り込むには一般的な情報だけでは不十分だ。重要な人物との接触では趣味嗜好も把握し、地道に人間関係を築く。役職や肩書だけでなく、決裁や予算権限は持たないが権限者に重宝されているキーパーソンも割り出す。理想は「相手先のシステムの納入需要を自分たちで作り出す」ことだ。

基盤となっているのは「仮説思考」だ。まず、自分で事前に担当企業の需要や人間関係のストーリーを想像して仮説を立てる。他社での事例を参考に、自分で考えたストーリーを色々な立場や役割の取引先にぶつけて実際との齟齬(そご)を検証し、擦り合わせを繰り返す。「こんな提案できたら面白いと思うのですが、いかがですか」という提案の陰には地道な検証が隠れている。

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