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時短家事

家族で家事をシェアするコツ 道具選びから巻き込もう 生活コラムニスト ももせいづみ

2018/11/20付 日本経済新聞 夕刊

家事の時短は、作業の合理化だけではない。家族がいる場合は「シェア」も大きな課題だ。自然に「気づいた人がやる」習慣があるといいのだが、一人が家事の主導権を持ってしまうと、途中から分担してもらおうと思っても、なかなかうまくいかないことも多い。

こういう時は、道具を変えてみるとうまくいくことがある。一般的なキャニスター型の掃除機をスティック型に変えて、皆がいつでも目につく場所に置いておく。食器洗い機を導入してみる、といった家電の導入も一つの選択肢だ。これまで無関心だった夫が、気がついたら掃除をしていた。食器のセッティングは任せろ!と言うようになったというエピソードはよく耳にする。大事なのは「道具選びから参加してもらう」ことだと思う。

家事を主体的に担えば担うほど、家の中に様々な手順やルールが増えていくもの。こうして作られていく「テリトリー」の外側にいる人に当事者意識を持ってもらうのは、結構難しい。「自分が選んだ道具」「私に所属する道具」があるだけで、小さく意識は変わる。家電だけでなく、小さな道具や洗剤類でも、使いやすさや成分などを吟味して選んでもらうことで、ちょっとした当事者意識は生まれる。

息子が9歳の時、宅配で届いた掃除機の箱を開け、組み立てて使うまでの工程を、「難しすぎてわからないから任せた」と丸投げしてみたことがある。数日おもちゃとして遊び、5日後に組み立ててから後、掃除は彼の仕事となった。そろそろ埃(ほこり)が、とつぶやくと、「仕方がないなあ」とうれしそうに掃除機を出してくる。それまで手伝ってくれないとぼやいていたけれど、家事を囲い込んでいたのは私のほうだったのかも、と思ったものだった。

小さい子には、専用の道具を用意してあげると、おもしろがって家事に参加してくれる。浴室にかわいいブラシを置いて、汚れをみつけたらこすってみてと伝えておくと、自然と汚れをみつける目が育つ。洗面所やトイレに、好きなキャラクターのついたブラシを「あなた専用」と見える場所に置いておくのも、とてもいい。

動物の形をした埃取りや、柄の長さを調節できるほうきなどを、子どもの目の高さに下げておいてあげると、親が掃除を始めたときに自然と参加できるようになる。「壊されたら困る、危ない、汚い」という理由で、子どもを家事から遠ざけてしまわないように、日ごろから家事の入り口を作っておくのも、とても大切だと思う。

以前、洗面所に挿絵にあるようなブラシがあると便利と講演でお話したところ、「帰りに買って置いておいたら、じいちゃんがうれしそうに使ってた」と後日メールを頂いた。ブラシ1個から始まるシェア。あなどれないかも、です。

ももせいづみ
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。

[日本経済新聞夕刊2018年11月20日付]

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