部下の成果共有し現場奮起 ギフト商戦で日本一に
セブン―イレブン・ジャパン社長 古屋一樹氏(下)
部下と公私にわたって付き合いながら管理職のあるべき姿を模索した(前列中央が本人)
1988年、千葉県市原市に赴任する。
セブンイレブン加盟店に対する経営相談を担う部署で、地区を統括するディストリクトマネジャー(DM)になって2カ所目です。8人の部下で約60店をカバーしました。当時の市原市はコンビニエンスストアの競合が少なく独壇場でした。
恵まれた環境でしたが、商売の基本である売ることへの積極性に欠けているように感じました。クリスマスケーキなどの予約販売ではいつも全国の最下位に近い成績だったのです。
予約商戦は全て日本一になるという目標を掲げました。ただ振り返ると、DMになって最初に担当した東京都町田市では部下の前に出ていいところをみせる子供の仕事でした。これでは担当の全約60店を底上げできません。まず私がマネジメントの仕方を変えなければなりませんでした。
フランチャイズ方式のコンビニでは、店舗を経営する加盟店オーナーに納得して動いてもらわないと何もできません。私がすべきことは具体的な仕事の手順を示すことだったのです。
優れたノウハウを共有し全体を底上げした。
まず全店でミーティングをするよう指示しました。お客様への声のかけ方や店頭での販促物の掲示の仕方など一つ一つ具体的に示し、加盟店と共有しました。
部下への指示の仕方も変えました。一人ひとりの仕事のレベルには差があります。最初は優れた取り組みをしている社員の仕事ぶりを私が他の部下に伝えていました。すると必ず「わかりました」で終わっていました。そこで成果の出た取り組みを直接、部下に発表してもらうようにしました。同じ立場の社員から言われた方が説得力があり、議論が活発になりました。