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具材と混ぜるだけ 栄養たっぷりトマト缶をフル活用 管理栄養士 今泉マユ子

2018/11/13付 日本経済新聞 夕刊

見た目が鮮やかなトマトには、栄養もたっぷり。トマトの缶詰を使うと、時短の煮込み料理などレシピの幅はぐんと広がる。

トマト缶は温めなくてもそのままで食べられる。イワシやサンマのかば焼きなど味のついた缶詰1缶と、カットトマト缶2分の1カップ(100ミリリットル)を混ぜるだけで、おいしい1品が完成する。ご飯やパン、パスタや冷ややっこなどにかけてみよう。好みでパセリや黒コショウを添えてもよい。

トマトにはビタミンやミネラルなどたくさんの栄養素がバランス良く含まれている。中でもトマトの赤みの成分であるリコピンは、美肌効果や多くの病気の原因となる活性酸素を除去する働きを持つ。リコピンの抗酸化作用は、緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上といわれている。

リコピンは生のトマトよりも缶詰のトマトに多く含まれている。生のトマトは熟してリコピン量が増える前に収穫されるのに対し、缶詰にするトマトは真っ赤に熟してから収穫されるためだ。

さらに、トマトの加工品からは、同量の生のトマトと比べてリコピンを2~3倍吸収しやすいことも明らかになっている。リコピンは油に溶けやすいので、オリーブ油と一緒にとると吸収がよくなる。

トマトの缶詰には、トマトが丸ごと入っているホール缶と、四角く切ったカット缶がある。トマトの形がなくなるまで煮込むスープやシチューにはホール缶が、パスタやカルパッチョなどトマトの形を残す料理にはカット缶がおすすめと言われる。好みで選ぶとよいが、私はトマトを潰す手間を減らすために、時短も兼ねてカット缶を使うことが多い。

ホール缶とカット缶では、トマトの品種が異なっている。メーカーによって異なるが、一般的にホール缶はサンマルツァーノ種やその改良種などイタリアを代表する細長い形のトマトが多い。加熱すると風味が増すのが特徴だ。味が濃く、煮崩れしやすい。

カット缶には丸い形のトマトが使われている。しっかりした果肉で煮崩れしにくい。トマト自体はホール缶の方がやや甘く濃い味だが、種が多めに入る分、酸味も強い。カット缶はあっさりした風味だが、種が取り除かれていることが多く、酸味は穏やかだ。

トマト缶は使い切れなかった場合、そのまま冷凍も可能。トマトの旬ではないこれからの季節、缶詰をうまく活用してはいかが。

今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。

[日本経済新聞夕刊2018年11月13日付]

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