「さまざまな地域や病状の人に届けたい」とまずは「ひこにゃん」や「くまモン」など各地のゆるキャラをデザインに取り入れたヘルプカードを作成。キャラクターものだけでなく、18年6月の大阪北部地震の際には障害を持つ避難者向けのカードも作成している。選べるデザインは現在、計40種類に増えた。

もともとヘルプマークとヘルプカードは東京都が12年から作成しているもの。人工関節をつけた都議会議員からの「統一的なマークを作ってほしい」という提案だったという。電車やバス内での配慮を求め、障害を持つ本人に限って都営地下鉄やバスの各駅、病院などで、約22万枚を配布してきた。

デザインの著作権は都が持つが、大きさなど一定のガイドラインに従って申請すれば、誰でも自由に作成、配布していいことにした。「普及ネットワーク」のような民間団体から、全国の自治体まで独自の取り組みをする団体は多い。

18年9月時点でヘルプマークは32の都道府県が配布しており、ヘルプカードは群馬県以外でオリジナルのデザインのものを入手可能だ。多くの自治体のウェブサイトからダウンロードできるようになり、ヘルプマークを郵送してくれるところも増えている。

課題は営利目的の利用だ。都の担当者は「あくまで無償なので、営利目的の利用は断っている。当事者以外への配布も控えて」とする。だが転売もあり、「オークションサイトの運営者と協議し、見かけるたびに削除をお願いしている」とするが、今も出品が確認できるサイトもある。

自身も透析患者の北海道腎臓病患者連絡協議会の苣木(ちさき)芳三事務局長(71)は毎日、かばんにヘルプマークとヘルプカードをつけて地下鉄で通勤している。札幌市内では約3万枚の配布にとどまるが、席を譲ってくれる人が増えてきたと感じている。

苣木さんは「多くの当事者にこのマークを使ってもらえれば、見えない障害への理解が広がるのではないか」と期待を込めている。

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認知度は半数以下 障害者、利用率も低迷

ゼネラルパートナーズ障がい者総合研究所の調査によると、ヘルプマークを知っている人のうち、利用したことのある障害者は22%にとどまる。「知っている」と回答した人も半数以下で、特に首都圏以外では少ない。障害を持つ当事者のヘルプマークの認知度や利用率の低さが浮き彫りになっている。

ヘルプマークが日本工業規格(JIS)に登録されたことを受け、同研究所が17年7月、障害者379人に対してアンケート調査をしたもの。

知っていると答えた人でも「利用したいと思わない」との回答が37%あった。理由として「利用時の周囲の反応が気になる」「認知不足で役に立たない」との回答が多く挙げられた。

同研究所は「ヘルプマークの認知を向上させるだけでなく、障害者に対する社会全体のまなざしも変えていく必要がある」と分析している。

(鈴木卓郎)

[日本経済新聞夕刊2018年11月7日付]

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