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新たな高齢者施設「介護医療院」 なぜ広がらない?

生活機能の充実必要/自治体の支援不十分

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NIKKEI STYLE

医療や介護が必要な高齢者の生活の場の一つとして4月に新設された「介護医療院」が広がっていない。現在、長期入院の受け皿になっている「療養病床」よりスペースを確保するなど「住まい」としての役割を高めて看取り(みとり)も対応するが、財源を不安視する自治体の後押しが十分でない。療養病床などからの転換期限は2023年度末のため、様子見している病院などが多いようだ。

「足は痛くないですか」。埼玉県川口市のはとがや介護医療院。その一室を訪ねると、リハビリのスタッフが手足の関節が動きにくくなることを防ぐため、高齢の女性入所者の足をマッサージしていた。

複数のベッドがある多床室だがパーティションで仕切られており、起き上がっても隣の入所者と視線が合わないようになっている。

この施設は元は療養病床だったが、自宅などに戻るためのリハビリ中心の老人保健施設に転換。さらに5月、介護医療院に転換した。98床で主に要介護度4~5で多くの介護が必要な高齢者が入居する。

運営する医療法人あかつき会の高崎慶本部長は「高齢者の家族に『最期まで入居できる』と説明できるようになった」と話す。

看取りに対応

老人ホームは看取りができるほど医療体制が整っていないことが多く、家族は「状態が悪化したら施設を出なければならない」と不安を感じる。介護医療院ならば、医師も看護師も24時間対応で、看取りも可能だ。高崎本部長は「家族の不安を取り除ける」と話す。

現在、病院の療養病床は病気などで長期療養を必要としている人が対象。医療の必要度が高い人向けの「医療型」と、介護ニーズの高い人向けの「介護型」に分かれる。

ところが双方の入院患者に差がない実態も判明している。このため政府は18年4月、医療型に入院しながら医療の必要度が低い人と、介護型を利用する人を対象とする介護医療院を創設。介護型の廃止に6年間の猶予期間を持たせ、23年度末までの転換を目指している。

転換の対象となる病院のベッド数は約12万床。政府は介護医療院に転換した場合、介護報酬に"ボーナス"(加算)を設けて転換を促すが、4月から9月末までに転換したのは4583床にとどまる。

なぜ転換が進まないのか。課題は大きく2つある。一つは介護医療院が生活の場である「住まい」の機能を重視している点だ。

ハード面では現在の介護型の療養病床が1人当たりの床面積が6.4平方メートル以上だったのに対し、介護医療院では生活の場としてパーティションで区切ったうえで1人当たり8平方メートル以上が必要。現在は転換した場合、床面積などの基準は緩和されているものの、いずれ改修や建て替えの際に対応を迫られる。

さらにレクリエーション室の設置が必要で、新たにどのようなレクリエーションを催すかなどソフト面の充実も求められることもある。こうした生活機能の充実への対応も不透明のため、すぐ転換することに二の足を踏む病院も多いとみられる。

財源を不安視

もう一つは負担が増加することを恐れる自治体の後押しが十分でない点だ。

「医療型」の療養病床の費用は医療保険が負担するが、介護医療院に転換すると、市町村が保険者となっている介護保険から負担することになる。日本慢性期医療協会の武久洋三会長は「小さな市町村では支出が増えてしまうため、介護保険料がぼんと上がる」と指摘する。こうした事態を懸念し、転換に後ろ向きの自治体もある。

日本介護医療院協会の鈴木龍太会長は「都道府県によって助成金の内容や支給時期が違う」と話す。その結果、医療型だけでなく、介護型も含めて、療養病床を持つ病院が様子を見ている例もあるという。

25年には団塊の世代の人たちがすべて75歳以上の後期高齢者となる。これまで必要としていた重症患者向けのベッドが余り、慢性疾患を抱えて自宅で暮らせない高齢者の受け皿不足が課題となっている。25年に向けて地域の医療・介護体制の見直しが急務となっている。

療養病床を地域のニーズに合わせてどう変えていくのか。医療機関や自治体は早急に示す必要がありそうだ。

◇  ◇  ◇

療養病床 介護型の廃止 3度目の挑戦

厚労省にとって介護型の療養病床の廃止は3度目の挑戦となる。06年、当時の小泉純一郎政権が医療や介護にかかる国費の削減を進める過程で、療養病床は医療型に一本化されることとなった。

このときの介護型の転換先は老人保健施設(老健)。だが、当初の期限だった11年度末に7万8千床も残った。老健では医療機関が得られる報酬が低いことなどが理由だ。そこで廃止期限を17年度末まで延期したが、それでも思うように減らず、2度目の延期に。現在の介護医療院への転換促進に至っている。

看取りまでする療養病床が介護医療院に転換しても大きな変化がない利用者がいることも事実。日本介護医療院協会の鈴木会長は「終(つい)の棲家(すみか)としても使えるし、リハビリして家に戻りたい人も入れる。多種多様な人が望みをかなえられる場になるはず」と今後の進化に期待を込める。「変わったのは名前だけ」で終わるのか。答えは現場で出る。

(新井惇太郎)

[日本経済新聞朝刊2018年11月5日付]

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