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新たな高齢者施設「介護医療院」 なぜ広がらない? 生活機能の充実必要/自治体の支援不十分

2018/11/5付 日本経済新聞 朝刊

医療や介護が必要な高齢者の生活の場の一つとして4月に新設された「介護医療院」が広がっていない。現在、長期入院の受け皿になっている「療養病床」よりスペースを確保するなど「住まい」としての役割を高めて看取り(みとり)も対応するが、財源を不安視する自治体の後押しが十分でない。療養病床などからの転換期限は2023年度末のため、様子見している病院などが多いようだ。

ベッド横をパーティションで仕切り、プライバシーに配慮(埼玉県川口市のはとがや介護医療院)

「足は痛くないですか」。埼玉県川口市のはとがや介護医療院。その一室を訪ねると、リハビリのスタッフが手足の関節が動きにくくなることを防ぐため、高齢の女性入所者の足をマッサージしていた。

複数のベッドがある多床室だがパーティションで仕切られており、起き上がっても隣の入所者と視線が合わないようになっている。

この施設は元は療養病床だったが、自宅などに戻るためのリハビリ中心の老人保健施設に転換。さらに5月、介護医療院に転換した。98床で主に要介護度4~5で多くの介護が必要な高齢者が入居する。

運営する医療法人あかつき会の高崎慶本部長は「高齢者の家族に『最期まで入居できる』と説明できるようになった」と話す。

■看取りに対応

老人ホームは看取りができるほど医療体制が整っていないことが多く、家族は「状態が悪化したら施設を出なければならない」と不安を感じる。介護医療院ならば、医師も看護師も24時間対応で、看取りも可能だ。高崎本部長は「家族の不安を取り除ける」と話す。

現在、病院の療養病床は病気などで長期療養を必要としている人が対象。医療の必要度が高い人向けの「医療型」と、介護ニーズの高い人向けの「介護型」に分かれる。

ところが双方の入院患者に差がない実態も判明している。このため政府は18年4月、医療型に入院しながら医療の必要度が低い人と、介護型を利用する人を対象とする介護医療院を創設。介護型の廃止に6年間の猶予期間を持たせ、23年度末までの転換を目指している。

転換の対象となる病院のベッド数は約12万床。政府は介護医療院に転換した場合、介護報酬に“ボーナス”(加算)を設けて転換を促すが、4月から9月末までに転換したのは4583床にとどまる。

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