免疫力高める室内エクササイズ 血流促し体温アップ
耳をさすって全身を刺激/膝曲げ歩きで筋肉増やす
冬場は室内外の寒暖差や空気の乾燥で喉や鼻の粘膜が乾き、ウイルスにかかりやすい。ウイルスや細菌と戦うための免疫力を高めることが大切だ。十分な栄養や休養に加えて、この冬は適度な運動を習慣づけよう。
誰もが風邪やインフルエンザの感染を避けたいはず。高齢者は特に、感染後に肺炎を発症するなど重症化しがちなので注意が必要だ。
運動と栄養、休養のバランスが免疫力の維持には欠かせない。ただ、運動といってもハードすぎる運動は逆効果になる。フルマラソンに出場した選手の5~7割は、2週間以内に風邪の症状が出るという報告や、運動選手がヘルペスなどの感染症にかかりやすいといった報告もある。
免疫力アップには、適度な運動で血流を促進し、体温を上げることが有効だ。通勤や買い物の道中に30分ほどウオーキングしたり、軽い筋刺激運動やかかと上げ運動をしたりするとよい。そうはいっても、寒い季節は継続的に体を動かすのが難しいと感じる人も多いだろう。そこで、室内で楽しみながら取り組める運動を紹介しよう。
まずは血行をよくする「耳さすり」。人さし指と中指の間で耳を下から挟み、周りの皮膚を上下にさする。耳は脳の蝶形骨(ちょうけいこつ)(身体全体を調整する役割を持つ)とつながっており、耳周りが緊張すると横隔膜や内臓、全身に伝わる。耳に働きかけることで、視神経や脳に加え、自律神経を刺激するので、全身の緊張がほぐれる。
耳周りが温まったら、続いて「耳伸ばし」。耳たぶを下に伸ばし、さらに横と上にも伸ばそう。指で挟んで力を入れすぎず、5秒から10秒ほどかけてふんわりと優しく引っ張る。
室内でも取り組める有酸素運動として、「エア縄跳び」を紹介したい。薄い冊子を筒状に丸めたものやラップの芯などを両手に持つことで、縄を使わなくても縄跳びの動作がしやすくなる。
"エア縄"を回しながら、縄跳びをするイメージで足腰を柔らかく使う。床からは跳び上がらずに、かかとが浮くようにふわふわと上下に動いてみよう。30秒ほど続ける。少しずつチャレンジし、慣れてきたら3~5セットを目標にする。余裕があれば、重心を左右の足に移しながら取り組んでもよい。
体温を上げるには、熱を生み出す筋肉を増やすことが必要だ。おすすめはニーベントウオーク(膝曲げ歩き、同中段)。軽く腰を落とし、腰と頭の高さを変えずに左右に3~4歩ずつ往復する(1~3セット)。体を反らさないように、中腰を保って移動する。
横移動に慣れたら、腰の位置をキープしつつ、斜め前に1歩ずつ進もう。膝に負担がかからない範囲で、無理なく取り組むのがポイント。週に3回程度が目安だ。前進をマスターしたら、同じ要領で後ろに進む動きに挑戦してもよいだろう。
感染予防にはマスクの着用や手洗い・うがい、部屋の湿度調整が大切。適度な運動で人間本来の免疫力を高め、風邪やインフルエンザの季節を乗り切ろう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2018年11月3日付]
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