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障害ある子の親を笑顔に 一緒に野外体験・家庭訪問

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NIKKEI STYLE

発達障害や脳性まひなど心身の発達に支援が必要な子供たち。子供自身の療育だけでなく、心労を重ねる親にも目を向けた家族支援の重要性が増している。家族ごと支えることで親子の信頼関係を深める。そんな取り組みを実践する施設の事例を紹介する。

穏やかな海が広がる沖縄県東海岸の金武町。5年前にできた発達支援センター「ぎんばるの海」には親子でマリンスポーツを体験できるプログラムがある。

「親子で海に入ったのは初めて。専門スタッフがいるので私自身も安心して楽しめた」。東京から来て9月に初めて体験した杉本ゆかりさん(38)はうれしそうに話す。娘の理々霞さん(15)は急性脳症による手足のまひがある。これまでも沖縄へ旅行したことがあり、理々霞さんは海が大好きだ。でも「サポート無しでは娘を海に入れることはできなかった」。

杉本さん親子を指導した理学療法士の丸山敦士さんによると、海の中では体の緊張が解けて、波の揺れにはリラックス効果がある。そして何よりも「親子が自然に笑顔になれる効果が大きい」と丸山さんは言う。

ぎんばるの海を運営する智晴学園の琉球リハビリテーション学院には日本で唯一の海洋リハビリ学科があり、専門家を養成している。親子プログラムの利用は増え、年5~6組になった。杉本さんは「周りのお母さんも親子体験にすごく興味を持っているので、今度は仲間も連れてきたい」。

同学園の儀間智理事長は「子供と一緒に心地よい時間を共有すると、親としての自信が培われる。親が笑顔でいるだけで子供は安心し、それが親の負担も減らす相乗効果が期待できる」と話す。「家族全員が安らげるリゾートリハビリを目指す」

家庭への訪問を含め、家族ごと支援する施設もある。広島市と愛媛県松山市に7つの事業所を運営する会社「奏音(かのん)」。小学1年生の双子の男の子が施設のブランコやトランポリンがある部屋で、汗だくになって遊んでいる。母親(46)がブランコを押すと2人の笑顔がはじけた。「ママ、のど渇いた」と普通に会話している。

2人とも発達障害があるというが、見た目には全くわからない。ところが、この「普通に見える」ことが親の心労や悩みを、むしろ大きくすることがある。

「2人ともこだわりが強く、通常は2歳で終わるイヤイヤ期がずっと続く感じ。この施設に通い始めた3歳までは大変過ぎてあまり記憶がない」と母親は話す。周囲は子供の特性がわかりにくいため、「育て方の問題だ」と理不尽な非難を受ける親は少なくない。

 大事なのは切れ目のない支援。施設と同様に家庭でも安定した親子関係を保つことが大切だ。ほぼ毎週、作業療法士が家庭を訪問し、成長に応じた対応の仕方を親と共有している。双子の母親は「子供の成長を実感できると私も安心できる。今は褒めることができるようになった」と笑う。

実は作業療法士でもある奏音の森川敦子代表自身4人の子供を育て、末娘には発達障害があった。だが、診断を受けるだけで長時間かかり、家族を支援する施設もなかった。「だったら自分で作ってしまおうと施設を立ち上げた」。総務省の調査では、発達障害が疑われる子供が初診を待つ期間は、過半数の医療機関で3カ月以上に上る。

森川さんの末娘は字がうまく書けなかったが、マークシートの試験はトップクラスの成績だった。「専門の勉強をしてきた母親の私でさえ、子供の特性のでこぼこに気がつかなかった」

小児科医で県立広島大学の林優子教授は「森川さんの施設のように訪問までして家族を支援しているところは少ない。親の不安を和らげ、大丈夫と言ってあげる人が必要。家族支援はもっと評価されないといけない」と指摘する。

◇  ◇  ◇

親の悩む姿 子も苦しむ

作家の東田直樹さんが、会話ができない自らの心の中をわかりやすくつづった著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」には何が一番辛(つら)いか、についてこう書かれている。

「自分が辛いのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです」

この本は30カ国語以上に翻訳され、世界中の親が読んでいる。親が悩むのは子供にとっても辛い。反対に親が元気なら子供も安定する。それは通常の親子関係でも同じだ。

親は子の成長に支えられて親として成長する。林教授は「発達障害といっても基本は子育て。家族支援は一般の子育てや学校教育の問題にも重なる」と話す。子供を支える家族を、さらに地域が支える。「最終的には家族と子供の関係性を支援する」のが理想という。

(大久保潤)

[日本経済新聞夕刊2018年10月24日付]

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