「がん5年生存率」の読み解き方 患者数・年齢に注意

「最新」反映できず

一方、宮城県のある病院では胃がんの生存率が全国平均を約10ポイント下回った。この病院では70代、80代の患者の割合が多いうえ、進行度をみても早期の「I期」の患者の割合が全国平均より約15ポイント低く、「こうした点が生存率に影響を与えている」と説明する。

がんの治癒の目安となる5年生存率だが、今回のデータは10年前に診断されたがん患者のデータだ。がん治療は新しい抗がん剤が登場するなど進歩が早いが、最新の治療実態を反映できないジレンマもある。

そもそも5年生存率は、大勢の患者の情報を集計した平均の数値で、自分自身が5年後に生きるか死亡するかを個別に予測するものではない。

全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「生存率はがん患者にとって関心が高く、詳細な情報公開が進んでいる点は歓迎すべきこと」とする。ただ「がん治療は部位ごとに治療難度や進行の早さ、判明時の年齢によって取るべき行動が変わってくる」と指摘。「公表されたデータを参考に、自身のがんの状態などを主治医と話し合う材料としてほしい」とアドバイスしている。

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3年生存率も活用 治療法の効果を早期把握

国立がん研究センターは今回、2011年にがんと診断された患者の3年生存率も初めて公表した。5年生存率に比べ短期間に集計でき、新薬や治療法の効果を早く把握できるメリットがある。

さらに全国約780病院で2016年に12部位のがんと診断された患者数などを閲覧できる検索システムも公開。同センターが運営するがん情報サービスのホームページ(https://jhcr-cs.ganjoho.jp/hbcrtables/)から利用可能で、病院ごとに年代別、性別、進行度別の患者数を検索できる。

東がん登録センター長は「こうしたデータを用いて各病院が治療の実態を把握し、医療の質の改善に役立ててほしい」と期待する。

全国がん患者団体連合会の天野理事長も「患者が病院を選ぶ上で役に立つ。今後は患者数が少ない希少がんについて情報公開の充実を進めてほしい」と話している。

(村越康二)

[日本経済新聞朝刊2018年10月22日付]

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