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華麗な兜のカレー 知将の逸話味わう滋賀の三成めし

2018/10/4付 日本経済新聞 夕刊

兜に似せてつくったカレー(米原市の醒井水の宿駅みゆき)

 滋賀県の彦根、米原、長浜の3市でしか味わうことができない「三成めし」が歴史ファンの注目を集めている。誕生の地、最後の居城などで3市にゆかりのある戦国武将、石田三成。その三成にまつわる逸話や人となりを食べ物やスイーツなどを通して表現した。豊臣家への忠誠を貫いた知将は、歴史を経て今、地元の活性化に一役買っている。

 三成めしの誕生は2016年3月。同年のNHK大河ドラマ「真田丸」で三成が重要な役で登場するのを機に観光客を呼び込もうと彦根市など3市が企画した。三成のエピソード、イメージ、ゆかりの地のいずれかに該当すれば認定される。現在、29商品が飲食店などで提供されている。

 米原市の醒井水の宿駅みゆきは16年から、エビフライやご飯の盛り方で三成の兜(かぶと)を表現したカレーライス「華麗なる三成」を提供している。考案した川口貢支配人(65)は「兜の額の左右に並ぶ鍬形(くわがた)の表現が難しかった」と振り返る。

 キュウリなどの野菜を立ててみてもしっくりこない。試行錯誤の末、エビフライが「ピタッとして見た目も格好良かった」(川口支配人)という。楽しい盛りつけに地場野菜をふんだんに使った中辛のカレーで、食が進む。

ニラ粥(右上)が売りの三成御膳(長浜市の己高庵)

 長浜市木之本町古橋の己高庵が4月から始めた「三成御膳」の売りはニラ粥(かゆ)だ。丹治和弘支配人(64)は「三成が関ケ原の戦いで敗れて隠れた洞穴が近くにある。三成には縁がある土地」と話す。ニラ粥は体調を崩した三成が最後に食べたとされる。地元のニラを使い、特製の梅干しを加えて食べる粥は疲れを癒やしてくれる。ほかにお造りや煮魚、茶そばなどが付き、ボリューム満点だ。前日までの予約が必要。調理に時間がかかるため、紅葉時期の11月は販売中止となる。

「三献の茶」の逸話をモチーフにした三色のマカロン(彦根市のスリールパティシエオガワ)

 彦根市のスリールパティシエオガワ。三成めしスタート時から手がけるのがマカロン「三成の縁」だ。秀吉との初対面の席で、三成が3杯のお茶を温度と量を変えて出した「三献の茶」の逸話をモチーフにした。店主の小川英彦さん(41)は「味の変化に悩んだ結果、三成と親交のあった武将ゆかりの地のお茶を使うことにした」と振り返る。

 大谷吉継ゆかりの抹茶、真田信繁から長野県上田市の桑の葉ほうじ茶、直江兼続より山形県米沢市のうごき緑茶を使用。食べてみると3つの茶の違いが楽しめて面白い。

 三成めしに託された密書は三成が大河ドラマの主人公になるように地元を盛り上げること。まだまだ三成さんの出番は続きそうだ。

<マメ知識>認定審査は年に1回
 三成めしは彦根市、長浜市、米原市で構成するびわ湖・近江路観光圏活性化協議会が年に1回、審査をして認定している。当初、名称を三成グルメとする案があったが、グルメは戦国武将には似つかわしくないとして、三成めしになった。
 認知度アップに向けてキャンペーンも展開している。12月2日まで漫画家、唐々煙氏が石田三成を主役に月刊漫画誌に掲載する「煉獄(れんごく)に笑う」とコラボ。三成めしを購入すると、3市ごとに異なるオリジナルステッカーがもらえる。

(大津支局長 橋立敬生)

[日本経済新聞夕刊2018年10月4日付]

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