虫食い防ぐ衣替え 洗濯と防虫剤を効果的に

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季節の変わり目、衣替えの時期が来た。夏物とはしばしお別れだ。お気に入りの衣類を守ってくれる防虫剤の効果的な使い方をマスターしよう。

クローゼットで虫を見たことがないから、うちにはいない――。そんな油断は禁物だ。エステー防虫・衛生事業部の高野豪さんは「服に穴が開いていたら、衣類の害虫がいると思って」と話す。

衣類を食べるのはカツオブシムシとイガの幼虫だ。自然界に普通に存在し、羽を持つ成虫は窓やドアの隙間から、または洗濯物や人に付着して家の中に入ってくる。

害虫は暗い場所に移動して卵を産み、幼虫は衣類の繊維を食べて成長する。イガは年3、4回、カツオブシムシは年1回世代交代する。気温15度、湿度60%を超えると害虫は活発になるので暗くて温かく、えさが豊富なクローゼットやタンスは格好の繁殖場になる。

「幼虫の好物はウールやカシミヤなどの動物性繊維で、次は綿や麻などの植物性繊維。化学繊維は消化できないので食べないが、汗や皮脂、食べこぼし汚れが付いていたら、それを食べるついでに服に穴を開ける」と高野さんは説明する。

ぬるま湯準備 つけ置き洗い

防虫対策の大原則は一度でも着た衣類は洗濯後にしまうこと。ただ、「こまめに洗濯しても夏の服には汗や皮脂が残ってしまう」と花王ファブリックケア事業部の村田大也さんは指摘する。「汚れは徐々に繊維に蓄積し、酸化して黄ばんだり、においが出たりする」(村田さん)という。

黄ばみや、えりの黒ずみ、食べこぼしのシミといった頑固な汚れを落とすには漂白剤を使った、つけ置き洗いが有効だ。衣類のつけ置きには酸素系の漂白剤が適する。ただし衣類の洗濯表示を見て漂白剤が使えるか、必ず確認を。

つけ置きは40度くらいのぬるま湯を使うと効果的だ。洗面器やバケツにぬるま湯を入れて漂白剤を適量溶かし、衣類をつける。特に目立つ汚れは部分的にもみ洗いをする。肌が弱い人は手袋を着用しよう。つけ置き時間は15分から最長で30分間。その後、よくすすいで干すか、他の洗濯物と一緒に通常通り洗濯する。

一度に何枚も汚れ落としをする場合は、洗濯機に洗剤と漂白剤を一緒に入れ、少し回して洗剤類を溶かしてから、一時停止ボタンを押す。そのまま15~30分つけ置きしてから再スタートし、いつも通りに洗濯する方法もある。

洗濯後は、よく乾かしてから収納する。自宅で洗えない衣類はクリーニングに出す。戻ってきたらビニールカバーを外して陰干しし、湿気を完全に飛ばしてから収納する。

いくら衣類をきれいにしても、収納場所がホコリだらけでは意味がない。「ホコリの中に卵や幼虫が隠れていることもある。衣替えを機に収納場所も掃除して」と高野さん。

衣類を収納したら防虫剤を上手に活用しよう。「防虫剤は幼虫の食欲を減退させたり、成虫を忌避したりするので衣類を守れる」(高野さん)。しっかり守るには、引き出しやクローゼットの隅々まで薬剤を行き渡らせる必要がある。それにはまず、スペースに合った商品を選ぶことだ。高野さんは「どのくらいの空間に防虫剤がいくつ必要か、箱や袋裏の表示を目安にして欲しい」とアドバイスする。

成分を確認し薬剤使い分け

使用するのが密閉空間か、オープンかによっても防虫剤選びは変わってくる。衣装ケースやタンスのように密閉した空間には薬剤が揮発するタイプの防虫剤が適している。薬剤は空気より重く、上から下に広がるため、引き出し用は重ねた衣類の上に置き、タンス用のつり下げタイプはパイプに等間隔に掛ける。

一方、大切な衣類のほか、頻繁に開閉する場所やオープンハンガーで収納する場合は、揮発しにくい薬剤を染み込ませたカバータイプの防虫剤が向く。いずれのタイプも有効期限を守るのが前提だ。

防虫剤の成分には無臭タイプの「ピレスロイド系」と、有臭タイプの「パラジクロルベンゼン」や「ナフタリン」、「しょうのう」などがある。「ピレスロイド系は他の薬剤との併用が可能だが、有臭系の薬剤同士を併用すると薬剤が溶けてシミが残ることもある」と高野さん。使いかけの防虫剤は、かならず成分を確認してから使おう。

(ライター 奈良 貴子)

[NIKKEIプラス1 2018年9月29日付]

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