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みんなで料理して認知症改善 介護系施設で試み広がる

介護系施設で調理・接客の動き広がる

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NIKKEI STYLE

介護関連会社が運営するカフェや、デイサービスで料理療法を取り入れる動きが広がっている。食材を切ったり、盛りつけたりすると脳が活性化し、認知症予防や心身機能の改善に効果があるという。楽しいうえに、達成感が味わえると高齢者らに好評だ。

「よくいらしてくださいました。いつもありがとうございます」

長野県岡谷市にある「ぐらんまんまカフェ」。毎週火曜日のランチタイムに接客や料理を担当するのは70~90代の高齢者だ。認知症などで要介護の人も多い。

「あちらの方ではないですか」

「そうでしたっけ。すみませんねえ」

料理の運び先を間違えるのはご愛嬌(あいきょう)。お客さんも接客担当の高齢者も、見守るスタッフも、みな笑顔だ。

開業は2015年5月。運営する総合介護サービス和が家(岡谷市)の今井祐輔社長は「認知症になると施設や自宅に閉じこもりがち。社会との接点を設けたかった。要介護の方でも料理や洗い場、接客など個性に合った役割があるはず」と話す。

カフェで働く90代の女性は「年を取ると何かと忘れることも多いけど、お客さんが来ると楽しいし張り切っちゃう」と腕まくり。今井社長は「料理をすると顔が生き生きし、自分から話しかけるようになる。様子を見に来た家族がかつてとの違いにビックリする」。

6月にオープンした神奈川県藤沢市の「かめキッチン」でも高齢者が調理している。朝にスタッフを交えて献立を考え、みんなで買い出しに。作った料理を隣接する食堂でランチとしてお客さんに提供している。

広々としたキッチンの中を10人近い高齢者が食材を持ちながらテキパキと動き回る。「あの女性は最初、何かにつかまらないと歩けなかったのに平気で歩き回っている。認知症で当初は包丁の刃を反対に持っていた人もいるが、今では手際よく何でも切っている」とスタッフの井上雅則さん。

運営するNPO法人シニアライフセラピー研究所の鈴木しげ理事長は「認知症などになると何にもできないと考えがちだが、長年培った料理は体が覚えていて、少しやると思い出す。若いスタッフが教わることが多いくらい」と話す。

東京都の目黒区や世田谷区に3カ所あるデイサービス「なないろクッキングスタジオ」も料理療法を取り入れている。明るくカラフルなキッチンは、おしゃれな雑貨屋のよう。「たとえ認知症の高齢者であっても、おしゃれな場所に来るとウキウキするのは変わらない」と運営するユニマットリタイアメント・コミュニティ(東京・港)の神永美佐子部長は話す。

 ここではプロのシェフが考案した洋食メニューなど、普段、家庭では作らないようなメニューにも挑戦する。神永さんは「料理を持ち帰ると、娘さんから『これおいしいね。作り方教えて』と頼まれることもあるようだ。達成感が生まれ、自信も持てる」という。

料理は五感すべてを刺激する。しかもトレーニングのような無理やり感がなく、自然にできるのが魅力という。「料理の後の感想文を当初はほとんど書けなかったのに、しばらく通ううちに難しい漢字を使い、理路整然と書くようになった人もいる」(神永さん)

料理療法に詳しい京都教育大学の湯川夏子教授は「認知症になると危ない、心配だという理由で何もさせないように気を使いがち。だが役割を取り上げてしまうと、症状は進行してしまう。料理は取り組みやすい分野。周囲で見守りながら、やらせてあげてほしい」と話している。

◇  ◇  ◇

段取り・並行作業 脳を刺激

料理をすると、脳の働きが活発になると研究でも明らかになっている。東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授が大阪ガスと共同で調べたところ、安静時にほとんど働いていない脳の前頭前野が「献立を考える」「包丁で切る」「いためる」「盛りつける」のいずれの場面でも活性化することが分かったという。

湯川教授も「料理の段取りを考えると計画力、煮たり焼いたり複数作業を同時に行うと注意分割機能、料理を通して昔のことを思い出せばエピソード記憶の刺激につながる」と語る。

家庭で実践するにはいくつかポイントがある。まず、高齢者に調理を強制しないこと。簡単なことから1つずつ進めるのも重要。失敗は記憶に残らないが、認知症の人でも感情は残るそうだ。「あのとき、この料理を作ったよね」などと話しかけ、昔の記憶を呼び戻そう。さらに感謝を伝えよう。「ありがとう」「おいしいね」と褒められると本人の自信回復につながる。

もちろん、火を使う際のサポートは必要だ。認知症になってからIH(電磁誘導加熱)に変えるとガス式と使い方が違うために混乱し、全く料理をしなくなる人も。早めにIHに変更するのも手だ。

(鉄村和之)

[日本経済新聞夕刊2018年9月26日付]

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