WOMAN SMART

時短家事

カジダンへの道 家事は子どもにも任せてみる モバイルファクトリー社長、宮嶌裕二氏

2018/9/30 日本経済新聞 夕刊

我が家では5歳の長女と3歳の長男に家事を手伝わせています。2人が今はまっているのがトイレ掃除。青色と緑色の洗浄液が混ざって便器に流れていくところがきれいで面白いらしい。洗濯物たたみ、食事後の食器の片付け、シンク掃除も任せています。

ルールは、家事をいつどんな頻度でやるのかペースを決めていることぐらい。トイレ掃除は子ども2人で夜に週2回。洗濯物たたみは親子で毎夜一緒にするなど、おおまかなものです。決して、「シンクは長女」「食器は長男」など「誰が何をする」ということは明確に決めない。

これは、仕事からの応用です。我が社では、オペレーションなど通常業務は特定の人に「属人化」せず、だれもができる「仕組み化」を取り入れています。互いにカバーし合える体制をつくることで全体業務が円滑に進みます。

家事を「仕組み化」して子どもに任せるのは、生活する上で自分のことは自分でできる人間になってほしいからです。私が中学生の頃は、母が3店の美容院を経営して出ずっぱりで、比較的時間に余裕のあった父と私と弟で、自分でできる家事をしていました。こうした経験が生きています。0歳の次女も、やがてはみようみまねで家事を覚えていくでしょう。

実は時短家事という観点からすると、子どもに家事を任せるのは結構、手間がかかる。汁物が入った器は大人が運んだ方が早いし、掃除も手際よくできる。それでも分担するのは、時短家事の目的を「家族がみな幸せな気持ちになれること」に置いているからです。

社内で社員満足度を調査したことがあります。全体の満足度を高めるには、組織を構成するキープレーヤーがまず納得できている必要がある。我が家では妻です。

子どもたちは親から仕事を任されたことがうれしいらしく、競い合って家事の洗濯物たたみに取り組む

0歳児、3歳児の手間がかかり妻は寝る時間もまともに取れない。家事をなるべく彼女から切り離し、自由に使える時間を増やすようにしています。時短家事で捻出した時間を使って家族同士のコミュニケーションを深めたいといっても、妻の気持ちに余裕がなければ成立しない。

子どもたちに任せる家事は、オーナー経営者にありがちな、「これやるぞ」と上からパッと押しつける形で決めたりはしません。妻と協議して決めています。風呂掃除については、子どもがまだ小さく危ないからさせていません。2人で相談して決めました。

子どもたちに家事を任せ始めたころは、少し渋るところもあったので、「終わったらアイスを食べてもいい」などインセンティブを付けていました。今では、「仕事を任された」ことがうれしいのか、家事の現場では長女と長男が競い合いながら楽しそうにしている。子どもたちは、大人が思っていた以上にやってくれます。「家事は楽しいこと」という認識がなかっただけに、私には新鮮な発見です。

宮嶌裕二(みやじま・ゆうじ)
東京都出身、47歳。1995年大学卒業後、ソフトバンク入社。サイバーエージェントを経て2001年にモバイルファクトリー設立。育休を2回取得。5歳、3歳、0歳の3児の父。

[日本経済新聞夕刊2018年9月25日付]

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