美しく使いやすい本棚 収納に余裕、量を定期見直し
本棚に読みかけの小説や未読の専門書などを積み重ねたままという人も多いのでは。読書の秋。見た目に美しく、使いやすい整理法を収納上手な2人に聞いた。
片づけ収納マイスターの山口かなさんは「取り出しやすくて、戻しやすい本棚」を重視する。
読書中だったり、よく読んだりする本は「テキパキスペース」の範囲に収める。テキパキスペースとは、本棚の前に立ち、自分の目線の少し上の高さから腰のあたりまでの手が届く位置を指す。
データ化し処分 ブラシで掃除
サッと手を伸ばせる位置に本があれば、読み終わった後で元に戻しやすい。戻す場所がわかっていると、積み上げたり重ねたりする必要がなく、ごちゃごちゃと散らかるのを防げる。
本棚のスペースは常に余裕を持たせておくことが大事だ。山口さんは8割収納を心がけ、本は半年に1回、量を見直し、雑誌やカタログは2か月に1回を目安に処分する。
「必要な部分をスクラップしたり、データ化したりして本棚をスリム化するのもあり」と山口さん。迷った本は「迷い本」として紙袋などにまとめておき、次の見返しのタイミングで残すか、手放すかを決める。
本を並べる基準は「完璧よりも快適さ」(山口さん)。この一角には小説を、この辺りにはお気に入りを、資格や勉強のための教科書はここ、と場所を決めて並べていく。
高さはバラバラでも、場所ごとに「何か」でまとめるといい。シリーズならば順に並べる。他に、同じ作家をまとめたり、同系の色を近くに並べたりしても統一感が出る。
大型の重い本は下段へ。軽いものや使用頻度が少ないものは上段に置くことを意識すると、使いやすいだけでなく安全面もクリアする。
きちんと片付いていると、掃除もラクだ。本棚の汚れの大半はチリやホコリ。「軽い汚れは軽いうちに、ふわふわ汚れはふわふわのまま」(山口さん)が鉄則。ぞうきんやウエットティッシュなど水分を含んだもので掃除をすると、本に水分がつきホコリが吸い寄せられる。ドライシートなどでのから拭きが正解だ。
山口さんは、掃除に塗料用のブラシをすすめる。ホームセンターや100円ショップなどで数百円で手に入る。本棚の奥や本の上にたまったホコリをブラシで床に落とし、最後に掃除機で吸う。「ホコリがたまりやすい段差もしっかりかき出せる」という。
美的収納プランナーの湯浅真理子さんが重視するのは、本棚の見た目の美しさ。
自宅リビングには壁一面に備え付けた本棚がある。夫と息子の3人で、リビングに置く必要があると判断した本を並べている。
棚板の幅そろえ テーマ別分類
本だけでなく、お気に入りの写真や雑貨も飾り、本棚全体の見せ方を考慮する。「棚板の幅を縦横そろえる。1マスの中に、本と本以外のモノを混在させない。小物は小物だけを飾る。本はゆとりを持たせて並べる。表紙の位置をきれいに見せる」と、そのルールを説明する。
家族で話し合った結果、歴史本、地図とガイドブック、レシピ本などテーマ別に分類する収納にたどり着いた。新しい本がどんどん増えてしまいそうだが、量は一定に保つ。情報が古くなった本や読み終わった本について、みんなで定期的に処分するか、保存するかを決めるという。
本棚の横には子どもの学習机があり、教科書や参考書は手に取りやすい場所に配置している。学校のプリント類は、紙製ボックスに分類して収納し、取り出しやすい下段にまとめ、裏を向けてすっきり見せる。「プラスチックの収納ボックスは使わない。生活感が出やすく、静電気でホコリが付着しやすいから」(湯浅さん)
残しておく文庫本や漫画は、ベッド下の引き出しなどに隠して収納する。「リビングの本棚では棚板の幅に比べて本のサイズが小さく、低いため、見た目のバランスが気になったから」。これも本棚を美しく保つコツの1つ。
湯浅さんは「整理整頓すると必要なものを探す手間がかからず、効率的に動け、ゆとりある生活を送れる」という。
本棚が整うと、頭の中もすっきりしそう。余裕が生まれた心と時間で、秋の夜長を楽しみたい。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2018年9月15日付]
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