もやしの豆、色を巡る攻防の歴史 黒がじわり復権

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安価なもやしは物価の優等生(PIXTA)
安価なもやしは物価の優等生(PIXTA)

スーパーの店頭でどこか日陰の存在のもやし。他の野菜が高騰しても、年中価格が安定している物価の優等生だ。日本の食卓を縁の下で支えるもやしの歴史を探ってみると、「色」を巡る攻防が見えてきた。

今夏も最高気温が40度に迫った埼玉県深谷市。猛暑の地で創業60年近くになる飯塚商店は業界で「高級もやし」の生産者として知られる。

スーパーなどで売られる一般的なもやしの価格は200グラム入り1袋で30円前後が多い。コンピューター制御の大規模工場で大量に作られる。

一方、飯塚商店のもやしは手作りに近い。毎日手作業で水をやり、室温を管理して6日間。出来上がったもやしはひょろひょろでどこか頼りないが、口に入れると独特の香りとほのかな甘みが広がる。「これが昔ながらのもやしの味です」と2代目の飯塚雅俊さんは胸を張った。

気になる価格は200グラム入りで150円前後と、一般の5倍ほど。地元スーパーのほか東京都心の伊勢丹や高島屋などの百貨店でも販売している。「細くてもしっかりした風味が評価され、ここ数年は前年比5%増ほどで売り上げが伸びている」

実は、日本のもやしには大きく「黒」と「緑」の2種類がある。飯塚商店が育てているのはブラックマッペ(黒豆)のもやし。これに対しスーパーなどの店頭に並ぶ一般のもやしは緑豆(リョクトウ)を育てたもの。日本のもやしの歴史は、この「黒」と「緑」のせめぎ合いだった。

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