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伊藤園の大山桃子さん

伊藤園の大山桃子さん

各社が相次いで新製品を投入し、競争が激しい清涼飲料業界。伊藤園の広域法人営業一部の大山桃子さん(29)は今年5月、1カ月間に30台の自動販売機を新規に設置した実績を評価され、約100人の営業職の中から本部長賞に選ばれた。独自の営業スタイルを磨き、探究心を持って突き進む大山さんは、社内でも注目の存在だ。

清涼飲料市場が伸び悩むなか、茶系飲料のトップブランド「お~いお茶」を持つ伊藤園にとっても競争は厳しさを増している。自販機事業ではいかに好立地を押さえて設置できるかがカギになる。大山さんの「1カ月で30台」は営業職の多くが10台にも満たないなかで、異例の数字だ。

大山さんは2013年に伊藤園に入社した。「昔から食べたり飲んだりするのが好き」という純粋な思いから仕事を始めたものの、初めの数年間は困難の連続だった。

最初に配属された業務用営業推進部では、ホテルやレストラン、バーなどへの営業を担当した。アポなしの飛び込み営業も当たり前。1日に数十軒訪問しても断られる、そんな毎日だった。

商談の際の応対や立ち居振る舞いなどの気遣いでも「取引先の人たちの方が断然、上手でした」と振り返る。日々接するのはホテルの宴会担当やバーテンダーといった、いわゆる「おもてなしのプロ」。大山さんのぎこちない営業トークが空回りするばかりで、最初の1年間はなかなか結果が出せないでいた。

どうすれば結果が残せるか。試行錯誤の日々の中で大山さんが考えた取り組みの一つが、営業ノートの作成だ。商談ごとに話した内容や反省点、取引先の担当者の血液型から休日の過ごし方、家族構成などを細かくまとめた。寝る前に必ず読み返して次の商談に臨む。まずは相手の事をしっかりと知るところから始めたことで、風向きは徐々に変わっていった。

当時の担当先の中には今でも忘れられない店がある。東京・表参道のフレンチレストランで、1年目の夏から大山さんが開拓を任された店だったが「オーナーに会わせて下さい」と何度訪問しても、受付で門前払いされた。そんな状況を打破しようと、大山さんはオーナーが参加するセミナーを調べ、顔を合わせるたびに名刺を渡すなど、営業の突破口を開こうとアタックを繰り返したという。

半年ほど経過したある日、オーナーから「今度店に来なよ」と一言。そして、ついにミネラル水「エビアン」を扱ってもらえるようになった。自分に何ができるかを考えて一から開拓した経験として今でも胸に刻み、機会を見つけてはその店に顔を出すようにしているという。

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