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現場主義のNEC女性営業 競合を圧倒する信頼獲得術 NEC 川辺理恵さん

2018/9/6 日経産業新聞

NECの川辺理恵さん

NECの主力事業は、企業が抱える課題をIT(情報技術)で解決すること。製造業分野での営業を担当する川辺理恵さん(33)は徹底した現場主義者だ。自身もヘルメットをかぶり製鉄所で汗を流したり、清涼飲料水を自動販売機に補充する配送スタッフに同行したりして、現場でしか分からない顧客ニーズに目を凝らす。

NECの顧客である鉄鋼大手の製鉄所で、品質管理に人工知能(AI)を導入する新たな取り組みが4月に始まった。担当者がスマートフォン(スマホ)のカメラで鋼材を撮影すれば、AIの画像認識技術で製品ごとの納入先や品質データがひと目で分かるシステムだ。自動車などに使う鉄鋼製品で高いレベルのトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が可能になる。

この新システムを提案した川辺さんが重視するのが、現場・現物・現実の「三現主義」だ。自ら製鉄所の中に入り、現場で働く人々から困りごとを聞く。仮説と検証を重ねて、AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術で課題の解決法を提案する。「鉄鋼だけでなく、同じ技術をタイヤや窯業にも横展開して、ビジネスにつなげていく」という。

NECは大手企業のITシステムを構築する事業を主力とする。社内では確実に収益に結びつく既存案件を優先しがちで、川辺さんが担当する提案型の新規案件は後回しになることが多かった。だが、顧客は待ってくれない。スピード感を持って対応するIT企業を選ぶからだ。「このままだとスタートアップ企業に仕事を取られてしまう」。前出の鉄鋼メーカーでのプロジェクト開始前の2017年4月、川辺さんは危機感を募らせていた。

「少量多品種で管理が大変なんです」。現場で捉えた顧客の声に、ビジネスチャンスを感じた。同鉄鋼メーカーの別の仕事で一緒に働いた社内のエンジニアとチームを作り、上司に相談。経営陣へのプレゼンをクリアして、プロジェクト受注のチャンスを勝ち取った。

実際に現場に出て初めて分かることは多い。川辺さんが現場主義に目覚めたのは、飲料メーカーを担当していた08~12年のこと。自動販売機で売られるお茶や清涼飲料水を配達するトラックに同乗させてもらったことで、川辺さんはあることに気づいた。

当時、オフィスビルの8階にある自販機への飲料を補充するには、スタッフがまず8階に上がって足らない商品を確認。トラックがある1階まで下りてから補充用の商品を抱えてもう一度8階に戻って作業していた。担当するエリア内で配達する順番もスタッフの経験や勘頼み。ITで解決できそうな課題が多く存在していたのだ。

「自販機の中にセンサーを設置して本数を把握すれば、往復の回数を減らせる」。今では当たり前の在庫管理手法だが、当時はまだ十分にITが浸透していない時代。その後、ITによる在庫管理の採用が急速に広がり、この経験が自信につながった。

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