3Dスキャナーで歯型… 歯科の施術時間、大幅短縮へ

2018/9/5付

歯科医に通う患者のストレスを軽減する治療法が広がっている。3Dスキャナーを使って負担を感じることなく簡単に歯型や入れ歯が作れたり、3Dプリンターを使って矯正に必要な器具を成形できたりする。人の代わりに人工知能(AI)が差し歯設計を担う実験も始まった。まだ保険診療外の技術もあるが、負担減になれば歯科医から足が遠のいていた人が来院しやすくなるきっかけにもなりそうだ。

東上野歯科クリニックでは3Dスキャナーを使い、患者の口の中を撮影し治療を進める

「差し歯がとれるという不安がなく、安心して受けられた。口に器具を入れられて気持ち悪くなることもない」。東上野歯科クリニック(東京・台東)に通う井上洋子さん(仮名、42)は以前に比べストレスが減った。理由は歯型や入れ歯の作製で口の中を3Dスキャナーで撮影、計測できるようになったからだ。

歯型を取るには通常、口の中で固まると弾力が出る「印象材」を使う。その場合、準備時間を含め施術に20分程度かかる。スキャナーを使うと2分ほどで計測できる。村岡正弘院長は「スキャナーは電源を入れればすぐ使える」と話す。

印象材を使う際、口を一定の時間開け続けなければならない。この行為が苦痛でなかには吐き気をもよおす患者もいるという。3Dスキャナーだと口腔(こうくう)を一度に計測する必要はない。患者の体調に合わせ数回に分けても精密にスキャンできる。金属アレルギーの人の治療にも対応できる。

この治療法は保険診療外だが、同院では患者の1割程度が利用するという。口腔のデジタルデータが残り、他の医療機関ともデータをやり取りできるため患者は転院しても不便を感じることはない。

デジタル画像や計測データなど治療の過程が“見える化”され、患者の安心につながっている効果も大きい。「患者とのコミュニケーションが進み、治療が開かれたものになった」と村岡院長は手応えを感じている。

AIを活用する取り組みも。訪問歯科診療の支援を手がけるデンタルサポート(千葉市)は、AIが差し歯などの歯科技工物を設計するソフトウエアの開発を進める。

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