誰もが認めるプジョーのNo.1 電話営業嫌われぬ理由
プジョー・シトロエン東京 猪股慎弥さん
「今は若者に人気の多目的スポーツ車(SUV)を推している」という猪股さん。1~7月で既に昨年1年間の8割を売った
仏グループPSA(旧プジョーシトロエングループ)の国内直営販売会社、プジョー・シトロエン東京(東京・目黒)に誰もが認めるナンバーワン営業員がいる。プジョー中央ショールーム(東京・中央)の年間販売の3分の1を売り上げる猪股慎弥セールスマネジャー(35)だ。情熱を秘めながらも、クールで丁寧な接客が多くの人をひき付ける。
「何度かメールを差し上げたのですがお返事がないので、ぜひ一度ご来店いただけないでしょうか」。6月、都内に住む60代の夫婦のもとに猪股さんから一本の電話が入った。夫婦はプジョーの新車購入時に金利が無料になるキャンペーンに申し込み、メールでの連絡を希望していた。
電話を受け、夫婦は猪股さんにカタログを送ってもらってから来店。展示してあった限定車を気に入り、キャンペーンについても丁寧に説明してもらい、購入を即決。当初考えていた時期よりも半年ほど早い購入になったという。
PSAは傘下にプジョーやシトロエンなどのブランドを持つ。日本にプジョーの販売店は79店あり、営業員は計約270人。猪股さんは2017年に一人で107台を売り上げ、7回目の年間全国トップに輝いた。
猪股さんは「来店してもらうことがスタートライン」と語る。だがカタログの申し込みやキャンペーン希望など、今はお客からの反応はほとんどがネット経由。そこから来店につなげるために「メールで素早くアプローチしても反応がなければ、ためらわずに電話する」(猪股さん)。
メールを希望している相手に電話をかけると、迷惑がられたりしないのか。「1回で出ない場合は連続でかけず、ショートメールを入れるなど、配慮と丁寧さを心がけてきたので怒られたことはない」と猪股さんは断言する。
もともとは「人見知りであいさつもできなかった」。そんな自分を変えようと選んだのが営業職。さらに外車を選んだのも車好きということではなく、「高い物を売った方が経験になる」から。そんな猪股さんだからこそ、車に詳しくない若い消費者に「プジョーはデザイン、内装、価格のバランスがいいですよ」と分かりやすく訴えることができる。