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東洋アルミニウムの東清久さん

東洋アルミニウムの東清久さん

アルミ箔国内最大手の東洋アルミニウムは、はっ水性の高い包装材「トーヤルロータス」の販売を拡大している。国内の包装材市場が伸び悩むなか、加工開発営業部の東清久さん(36)は、トーヤルロータスの技術を様々な業界に提案して新製品の開発に取り組み、販路を広げている。

トーヤルロータスは、2010年に開発したはっ水性のアルミ箔。液体が付着しないのが特徴で、ヨーグルトのふたなど食品向け開封材に使われている。東さんは入社後すぐに営業部に配属され、乳業メーカーや医薬品メーカーを中心に包装材の営業を担当。トーヤルロータスの拡販にもつとめた。

転機は2015年の夏。「トーヤルロータスで新規市場を開拓してほしい」という使命のもと、加工開発営業部に異動。しかし東さんにとって新規顧客への営業は初めての経験だった。異動前の営業部では実績を伸ばしていただけに「何もできていないような気持ちになり、つらかった」と振り返る。

しかし、約1年後の16年夏、山崎製パンとの大きな契約を成立させた。ケーキ用にクリームが付かない包材の開発に10年来取り組んでいた同社は東洋アルミの包装材にも興味を示していたが、トーヤルロータスの性能では不十分だった。そこで東さんは、当時開発されたばかりだった、はつ油性の「トーヤルウルトラロータス」を提案した。

一般の包装材の2倍以上というコスト面を理由に周囲からは「採用されるわけがない」「無理だ」と言われた。しかし東さんは「無理だと言われるような、誰もやらないことにチャンスがある」と諦めなかった。周囲の意見や経験を参考にすることも大事だが、「自ら動いて実際に確かめてみなければわからない」と、粘り強く営業を続けた。

その結果、16年冬に販売された山崎製パンのクリスマスケーキにはトーヤルウルトラロータスが採用された。「包装材としての価値だけでなく『生クリームが包装材に付かないためより口溶けのよいクリームが使えるようになり、ケーキがおいしくなった』と付加価値を認めてもらい、やりがいを感じた」

未経験の業界への営業にも挑み、清水建設と共同で建築用の型枠「アート型枠」を開発。トーヤルロータスの技術を生かし、型枠の表面にはっ水加工を施してコンクリートを流し込むことで、コンクリートの表面がきれいに仕上がる製品を作った。

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