髪より頭皮洗いがコツ ツヤ・コシ取り戻す洗髪法
皮脂や汗の量が増える夏は、髪のべたつきが気になり、洗髪に力を入れる人が多いのでは。シャンプー法を変えるだけで髪にツヤやコシが出るという。日々の洗髪に頭皮のケアを加えよう。
「頭部は体の中でも皮脂の分泌が多い」と話すのは銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長。この時期は帽子をかぶり頭皮が蒸れて雑菌が増えたり、エアコンによる乾燥や過剰分泌でかゆみが出たり。「だからといって、ごしごし洗うと皮膚を傷める原因になる」と指摘する。頭皮の炎症はふけ症やかゆみ、頭皮の荒れ、におい、抜け毛につながる。
紫外線も大敵。髪の毛の表面を覆うキューティクルは、強い紫外線を受けるとめくれあがり、水分や色素が抜けやすくなる。このキューティクルは摩擦に弱いので毎日、強い力で洗っていると、髪の傷みが加速してしまう。
髪や頭皮のケアの基本は洗髪だ。「洗髪は頭皮のケアの一環。毎日洗ってほしい」。これまで10万人以上の頭皮診断をした頭皮ケア専門サロン「OHBA」代表の大場隆吉さんは説く。「髪の悩みが解消するだけでなく、美容や健康にもいい」
頭皮のケアを組み込んだ洗髪法を教え、半年間毎日続けた60代以上の女性50人に聞いた調査では「冷え性が改善した」との回答が複数あったという。「髪の栄養になる血液が届きづらい頭頂部を動かすように毎日シャンプーをした結果、体全体の血流がよくなるからでは」と大場さん。血行を促進させるなら、洗髪は朝より夜に。3か月程で髪の毛の立ち上がりがよくなることなどが実感できるという。
頭頂部にかけ指を滑らせる
大場さんは「髪より頭皮を洗うことを意識するのがコツ」と話す。頭皮は敏感。触れ始めはゆっくりと指の腹を密着させる。シャンプー前のケアとして肩や首筋の皮膚に密着させた指を1センチほどの円を描くように優しく押して動かし、血流を促すように頭頂部まで上げていくと効果的だ。
シャンプーの際はまず、湯で頭皮を十分にぬらす。シャワーを地肌から5センチメートル程度に近づけ、水流の勢いで汚れを落とす。熱過ぎると頭皮を傷めるので39度前後にしよう。
次は泡立て。シャンプー剤を手に取り、耳の後ろから頭頂部にかけて指を滑らせるようにつける。頭頂部で「毛髪を泡立てネットのようにして、両手の指を交差させて空気を含ませるように小刻みに動かすと、きめ細かな泡ができる」(大場さん)。シャンプーの泡が髪を伝い自然に流れ、髪についたホコリや整髪料などの汚れを落としてくれる。ゴシゴシと力まかせに洗うのはNG。指の腹を頭皮に押し当て円を描くように動かす。
耳の裏・襟足・おでこの生え際から頭頂部まで縦に3ゾーンに分けて洗う。いずれも首に近い方から、頭頂部に向かって、指で円を描くように動かしていく。シャンプーブラシなどは強くこすり過ぎて頭皮のトラブルの一因になる可能性があるので使わない。
すすぎの際は、シャワーが地肌に直接届くように強めの水流にする。トリートメント剤は頭皮にはつけず、手の中で毛先にもみこむようにして浸透させる。頭皮のすすぎ残しがないように、頭頂部からお湯を流して落としきる。
ぬれた髪はドライヤーの前にタオルで水分をやさしくふき取り、できれば頭皮を保湿する。肌用の保湿化粧水(弱酸性のもの)や育毛ローションは地肌に直接つける。
生活習慣整えトラブル防止
シャンプー剤は髪質や頭皮の状態に合わせて選ぶ。慶田院長は「家族の性別や世代での使い分け」をすすめる。
男性は皮脂量が多い傾向があるうえ、整髪料や汗と混ざり、頭皮トラブルに直結しやすい。洗浄力や脱脂力が強いタイプのほか、皮脂量を調節するシャンプー剤を使おう。ただ、「薄毛は皮脂が毛穴に詰まるからではなく、多くは遺伝子の影響。過剰な洗髪で健康な皮脂膜まではがしては逆効果」(慶田院長)だ。
脂汚れの少ない子供や高齢者は保湿剤入りの刺激が弱いシャンプー剤で十分という。
髪や頭皮のトラブルには栄養バランスの悪い食事のほか、睡眠と運動不足、ストレスも影響する。「栄養が十分に行き届かないと髪や肌はパサつく。髪の傷みには生活習慣の影響も大きい」(慶田院長)。暑さに負けず、生活習慣も整えよう。
(ライター 児玉 保奈美)
[NIKKEIプラス1 2018年8月18日付]
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