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「骨密度が低くなる更年期以降の女性に多くみられる」と、東海大学医学部付属病院長で耳鼻咽喉科教授の飯田政弘氏は話す。耳石がはがれやすくなるためと考えられている。多くは1カ月程度で自然に治るが再発しやすい。飯田氏は「耳石が1カ所にとどまらないよう、普段の生活で頭をよく動かすと予防につながる」と助言する。

だが同じ回転性のめまいでも、激しいめまいが長期にわたり繰り返し起こるなら「メニエール病」を疑う。1回あたりの持続時間は10分~半日、頻度は週に数回~年に数回と個人差が大きい。難聴や耳鳴り、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがある。

メニエール病は、内耳で内リンパ液が増えて水ぶくれ状態になり、三半規管や蝸牛(かぎゅう)を圧迫することで症状が出る。水ぶくれの原因はよくわかっていないが、体の水分を調整するホルモンがストレスで変調するためとも言われている。ストレスを減らすことが第一だ。

これに対して2つめの、浮動性めまいは過労や睡眠不足、ストレスによる心身の不調時に現れやすい。さらに、3つめの、立ちくらみの原因は自律神経が乱れ、脳が一時的に血流不足になることだとされる。こちらもストレスをためないようにしたい。

なかなか治らないめまいがあれば、バランス感覚を養うトレーニングを試してみるのも良い。図のように利き手をまっすぐ前に伸ばし、手を軽く握って親指を立て、反対の手の人さし指であごを押さえて頭を固定、利き手を左右に30度ずつゆっくり動かす。「頭は固定、目だけで親指の爪を追いかける動作を左右交互に20回繰り返す」と横浜市立みなと赤十字病院のめまい平衡神経科部長・新井基洋氏。目だけをしっかり動かすと、バランスの司令塔である小脳が鍛えられるという。

ただし、めまいにも命に関わる病気が隠れていることがある。要注意なのは、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍が原因のケースだ。症状として出てくるめまいのタイプは、回転性だけでなく浮動性の場合もあり、一概には言えないが、飯田氏は「ろれつが回らない、手足がしびれる、激しい頭痛といった症状を伴うなら、脳の病気を疑って」と話す。

(ライター 松田亜希子)

[NIKKEIプラス1 2018年8月18日付]

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