混ぜる、のせる、焼く レトルトカレーのフル活用法
管理栄養士 今泉マユ子
蒸し暑い夏は、スパイスの利いたカレーをひときわおいしく感じる季節。汗を流しながら食べるカレーは格別だ。一方で、気温が高い時期にカレーをグツグツ煮込むのを敬遠する人は多いはずだ。
「ひと晩寝かせたカレーはおいしい」などといわれるが、手作りカレーには実は注意も必要。作って2日目のカレーが原因で、食中毒がしばしば発生している。
原因はウエルシュ菌。100度で煮込んでも死なないうえ、見た目や匂いでは発生が分からない。冷蔵庫で保管したにもかかわらず、食中毒になる例が多いという。食材の傷みが心配な季節こそ、高温・高圧で殺菌されたレトルトカレーをフル活用しよう。
市販用のレトルトカレーが登場して今年で50年。世界初のレトルトカレーは大塚食品のボンカレーだ。日本缶詰びん詰レトルト食品協会(東京・千代田)によると、現在国内で100社以上が500種類を超えるレトルト食品を生産し、レトルトカレーはその4割を占めるという。
レトルトカレーはご飯以外にもよく合う。例えば、マカロニの代わりに、豆腐を使った糖質オフのカレーグラタン。水気を切った豆腐を食べやすい大きさに切り分けてグラタン皿に並べ、レトルトカレーと溶けるチーズをのせてトースターで焼くだけで完成だ。
同じ材料で、調理方法を変えてみよう。水気を切った豆腐を小鍋に入れてなめらかに崩し、レトルトカレーを加えてよく混ぜる。グラタン皿に移し、パン粉と粉チーズ、乾燥パセリを混ぜてのせ、トースターで焼くと、トロトロの豆腐のカレーグラタンが出来上がり。ブロッコリーやミニトマトを一緒にのせて焼くと、おもてなし料理にもなる。
レトルトカレーは普通にご飯にかけてももちろんおいしいが、具のちょい足しで味わいはさらにアップする。素揚げ野菜やフライドガーリック、フライドオニオンのほか、ナッツやポテトチップスを砕いてかけると、食感が良くなる。
欧風系のカレーにはチーズやトマトのトッピングがぴったり。タイカレーにはパクチーを、ナンが合うインド風のカレーはパンにあわせて食べてもおいしい。
最近は糖質や塩分を抑えた健康志向のレトルトカレーや、本格的なタイカレーやインドカレー、スパイスを楽しむカレーなどが続々登場している。私は旅先で名産品を使ったご当地レトルトカレーを探すのが楽しみの一つだ。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2018年8月14日付]
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